宮本佳林ちゃんご卒業に寄せて

 

 

ハロープロジェクトのアイドルグループJuice=Juiceのメンバー、宮本佳林ちゃんの卒業コンサート日本武道館にて昨日行われ、そのライブビューイングに行ってきました。

 

 

佳林ちゃん、卒業おめでとうございます。

 

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今まであまりハロプロについてまとまった文章を書いてきませんでしたが、この機会に書いてみることにします。

 

私がアイドルを好きになったのは小学生の頃でももちのいたBerryz工房が始まりでした。モーニング娘。も好きだったけど、"アイドル"として認識してなかったかなあ。それから一定の距離感を保ちながらハロープロジェクトのアイドルたちのことを見てきましたが、ぶっちゃけひとりひとりの性格やメンバー間の関係性にはあまり興味がなくて、ただシンプルに彼女たちの曲が好きで、パフォーマンスに惹かれて現在に至ります。

 

実際、ライブにも行きませんでした。理由としては私の中でももいろクローバーZというアイドルが大切すぎて、好きなものを同時にふたつ持てなかったからという部分が大きいのですが、ハロプロの現場においては会場の空気感を生で感じたいとか、アイドルたちに声を届けたいとはあまり思わなくて「顔面が良く見えるかどうか」ということに重きを置きがちでした。ライブは別にライブビューイングとかスカパーでいいじゃんと思っていました。そんな中途半端な私でも、佳林ちゃんの卒業となればその場に駆けつけなくてはと思った。コロナのことがあり結局東京へ向かうのは諦めたのですが…

 

 

 

今年の2月に卒業発表があった時、Juice=Juiceから佳林ちゃんがいなくなるということはわたしの中でAKBからあっちゃんがいなくなるのと同じ意味で、それはひとつの歴史が変わる瞬間のように思いました。だけど、心のどこかで納得している私もいました。いつか来るものがやってきた、明るく見送ろうという気分にさせるような発表だった。

 

佳林ちゃんは研究生の期間を含めると12年、Juice=Juiceとしては7年ずっと第一線で活躍し続けてきました。本当にすごいです。12年間って言ったら「1ねんせーになったら〜1ねんせーになったら~♪」の子たちがもう中学生になる年齢だし(?)。不遇を経験したり、病気を繰り返したりと正直順風満帆なアイドル人生ではなかった思います。きっと抱えているものも大きいし、ふざけているように見えてグループを担う存在としての責任感もちゃんと持つタイプだと思うので、心の繊細さが心配でした。でも彼女は乗り越える強さも持ち合わせた人だった。逃げずにきちんと向き合って、それすらも大きな糧にして自身の表現力に繋げていました。よく「歌で届ける」とアイドルが言いますが、佳林ちゃんは気持ちを歌に乗せてぶつけてくるのが上手でした。個人として自分を好きに表現できる場での佳林ちゃんはそれはそれはのびのびとしていて、ソロでの活動を見ているとグループから卒業していく理由も見えてくるようでした。

 

彼女はとてもライブが好きな人です。ステージに立ったとき、最初から最後まで頭のてっぺんから指の先までかわいさに余念がない、そんなアイドルのことを「プロアイドル」と人は呼ぶと思うんですが、佳林ちゃんはまさしくそれでした。佳林ちゃんのパフォーマンスはいつどの瞬間を切り取っても、その顔、その表現に、嘘偽りない表情がありました。だからこそいつだってかわいい。そしてそのかわいさは、パフォーマンスが完璧だからこそ生まれます。その根本にはハロプロが好き!っていう気持ちがあって、ハロプロじゃなかったら発揮出来てなかったであろう熱さもある。

 

私は「この子が歌うから歌詞が意味を持つ」瞬間が好きです。「ひとりで生きられそうってそれってねえ褒めているの?」という曲の中では"頼りにしてるよなんてそれって喜んでいいの?"という歌詞がありますが、佳林ちゃんが歌うとセンターに立ち真ん中を背負う彼女の叫びのようにも聞こえてきました。ひとりで生きられそうとは言われなかったかもしれないけど、なんでも出来るって思われてきたであろう佳林ちゃんに重なりました。佳林ちゃんの歌う"私の全部捨ててしまおうか"は例えばスキャンダルを起こしたメンバーにそれを歌われてもあなたの全部?は?となりますが(最悪)佳林ちゃんの全部はめちゃくちゃ"重み"だし、"なんて大きな愛に包まれているの"は佳林ちゃんを取り囲む360度のステージ全てが花畑に変わるようです。

 

佳林ちゃんが歌えばいつも、教会の鐘がなるようでした。佳林ちゃんを差すやわらかな白いひかりは佳林ちゃん自身から発光されているようにも見えました。

 

 

 

卒業コンサートでは、佳林ちゃんがメンバーひとりひとりとタッグを組んで二人で曲を届けるメドレーのコーナーがありました。

 

どの曲もメンバーそれぞれのイメージにあった選曲でとても素晴らしかったです。と同時に、佳林ちゃんの曲に合わせてくるくる変わる表情にとても惹きつけられました。佳林ちゃんは瞳の使い方、視線の向きでその曲に物語を作り、歌詞の主人公になる人です。アイドルの魅せ方には色々なパターンがあると思いますが、佳林ちゃんは圧倒的に憑依型でした。かわいい曲もかっこいい曲もセクシーな曲も全部一瞬で佳林ちゃんの色に染めていて、Juice=Juiceの曲をJuice=Juiceの曲にしたのはいつだって佳林ちゃんの歌声だった。

 

佳林ちゃんが卒業するということは、エースが居なくなるとかそういう簡単な話じゃないです。この声と唯一無二の表現力を持った宮本佳林という人間がずっとJuice=Juiceの道しるべだったと思います。そしてJuice=Juiceのメンバーそれぞれが持っている顔や個性それらはすべて、宮本佳林の顔と魅力を語っているように思えました。佳林ちゃんが特別なのも可愛いのもヤバいのも感情の人なのも明るいのも切ないのも全部全部、Juice=Juiceは宮本佳林で、宮本佳林はJuice=Juiceだったからだと思います。

 

彼女たちはMCが苦手なグループです。だけどいつだってパフォーマンスで有無を言わさなかった。私はその歌って踊るということだけでもファンを増やすことが出来る、圧倒的な技量が好きでした。実際卒業コンサートもそんなに昔を懐かしむようなMCもなくて、息つく間もなくどんどん次に進んでいった2時間半でした。お涙頂戴ではなく笑って、ちゃかして卒業していくのが佳林ちゃんらしかったです。最後の最後、ひとりでステージに立ち武道館を見渡す佳林ちゃんのなんともいえない表情を見て、どんなことを感じてるのかな、でもそれはこちらには教えてもらえないだろうな、なんて思ったり。

 

佳林ちゃん、ほんとうにJuice=Juiceでいてくれてありがとう。

 

卒業おめでとう。

 

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----------------キリトリ線----------------

 

 

 

現在、ハロープロジェクトのアイドルはモーニング娘。アンジュルム、Juice=Juice、つばきファクトリー、BEYOOOOONDSと研究生で構成されています。

 

今でこそ女性雑誌の特集で取り上げられたりだとかジャニーズと兼任する女性ファンも増えてきていると思いますが、正直モーニング娘。以外は結局頑張ってもどうにもなれないじゃんということをたまに感じます。というのも、モーニング娘。高橋愛ちゃんや田中れいなちゃんが卒業し、Berryz工房や°C-uteが経歴的に圧倒的に上になってもモーニング娘。がいつも大トリで、どの集合写真もモーニング娘。が真ん中を陣取っていたりだとか、テレビ出演もモーニング娘。ばかり。そりゃあだったらモーニングに入りたいよなって思います。そういうどうにもならない壁をメンバー自身も感じてしまってるんじゃないかなと思います。

 

ゴールが見えないんですよね。昔みたいにバーンと売れてテレビにでていい思いだけでやめられればいいんだろうけど、下手したら自分の名前はおろかグループ名すら世間に知られていなくて、卒業後はマイナーな舞台に出てたまにファン向けイベントする道しか残されていない。「ハロプロで何を目標にしてやればいいのかわからない」っていう未来をメンバーが感じてしまっているのではないかなというのが私の見解です。ハロプロの歌をうたいたい!この先輩みたいになりたい!っていう遺産も少なくなってきてるんじゃないかなとも感じるし、この連鎖は正直止まらないんじゃないかなあ。

 

真面目な人ほど損をする世の中とは言いますが本当にそうで。モーニング娘。じゃなきゃ人気出なかっただろうなっていう子が簡単に歌割りをもらって、簡単に武道館に立っているのを佳林ちゃんはどんな気持ちで見てたかなあと思ってしまいます。もちろん運も実力のうちだし、どんなに才能があっても受からなかったということはモーニング娘。には合ってなかったのかもしれないけど…。でも何となくモーニング娘。に入れて何となくやってる子の陰で、なかなか報われなかった山あり谷ありな佳林ちゃん。スマイレージの二期もそうですが、そういう子みるとやるせない気持ちになります。

 

佳林ちゃんが歌ったソロ曲に「答えはいつだって未来にしかないよ」「ここにはなくたって作り出せるよきっと」というフレーズがありました。

 

ハロープロジェクトのアイドルたちの未来がどうか報われますように。輝き続けられますようにと、そう願います。