ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?を観てきたので感想を書きます

記憶は、思い出せば思い出すほど強く刻まれる特徴があるそうで、そしてその強く刻まれた記憶は再生される時にある部分が強調されたり、単純化されたりして脳みそにより強く記憶されていくらしいです。忘れないためには、何度も"思い出す"ことが大事。

 

いつかまた思い出したいので書きます。

 

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ももいろクローバーZさん主演のミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」は舞浜アンフィシアターで9/24から10/8まで開催されていました。"成長したこと" "変わったこと"がわかるのって変化する前の姿を見たことがあるからだと思うので、そういう意味でも2回は見たいと思ってなんとか9/24の初日と10/7の千秋楽一つ前の公演を観に行きました。演出やもろもろ思うことはあるけど"こうならよかったのに"ではなくて見せてもらえたものの中でどう思ったか、あれはどういう意味なのかとかを私は考えたいな。

 

以下感想です。

 

 

 

◾︎天使とジャンプ

初日の第一幕が終わってすぐ、隣の人に「天使とジャンプですよね!!」と興奮しながら話しかけてしまいました。他の3人に意味深な言葉を残して消えていくカナコがまんまカナエちゃんのようだったので。でも天使とジャンプを見直してさらに2回目を見に行った時は全くそんな風に感じなかったな。これは初日に比べてカナコがちゃんと夏菜子でもカナエでもなくカナコになってたからかなと思います。

 

◾︎変化

一番感じた変化は夏菜子ちゃんの演技です。初日に見たときよりもカナコを自分のものにしていて、より羽が伸びているようというか、ふざけるところは本気でふざけているし、くねくねヘラヘラしてて可愛かったな。ポジティブバカのバカの方が進化した感じでした(めちゃめちゃ褒めてます)。アドリブをいれるところでもあやかやれにはあーりん、れにちゃんまんまだなと感じたけど夏菜子ちゃんはずっとカナコでした。喋り方が。そう、"千田カナコの声"がありました。二幕でのHEAVENのライブなんかは頭を固定して踊るところも一人だけ楽しそうに首を振っていたり、必要以上に跳ねて歩いていたり、左右のメンバーを見て笑顔になったり、みんなで踊れることが本当に本当に嬉しい"カナコ"だった。もうひとつは台詞の重みです。説得する感じというか、どこからくるのかわからないあの自信っていうか、絶対大丈夫だよみたいな感じが増していて泣いちゃう。眩しいものを見た時1番泣いちゃう人間なので。

 

◾︎交通事故

どうか会えなくてもいいから生きていて、の気持ちでアイドルを応援しているので目の前でももいろクローバーZさんが(じゃないのは分かってるけど)"死ぬ"のはつらすぎました。つらいというか、怖かったです。ありえることだから。絶対にそんなことが起きませんように。

 

◾︎WE ARE BORN

すごく良かったです。一番勢いみたいなものを全身で感じて、大勢で魅せる迫力がすごかったです。楽しい!かっこいい!これが!ミュージカル!2番が終わってから"暗く狭い道を(前へ前へ)"で3人が転生し後ろに連れていかれて、"ひとりきりで(次の世界へ)"‬でカナコ一人が転生できずに舞台に残されるっていう、歌詞でストーリーを進めていたのが分かった時は鳥肌でした。そのあとの「泣きながら〜」のカナコの「らぁ〜っ」をすごく覚えています。

 

 

◾︎遠藤しおりという人

WE ARE BORNの歌詞の中に「No voice どこに生まれて No choice 誰と出会って 結局 自分じゃ決められない」と詩織ちゃんが歌うパートがありますが、まさに"良い子のしおりちゃん"じゃんと思いました。ドレスをまとったたたずまいが終始綺麗で、そんな姿で両親への感謝をうたった仏桑花を自分の人生や結婚に対しての不安を含めた、せつない感じで歌う詩織ちゃんのお歌がすごく良かった。ジャンプすると波打つように広がり、くるっと回転すると遅れてついてくるドレスの裾もすごく綺麗だったな。とくにそう思ったのはダンスオーディションの、最初はフリが分からずについていけないけど2回目にガッツリ踊るとこです。まわるんですけど、そこです。そこは2回行った両方ともしおりのドレスの裾を見てました。

 

◾︎渡辺あやかという人

富士が丘高校を重ねてきたこと、さおさんを出してきたことはん〜?って思っちゃったけど、先輩になった今演劇をまとめることに苦しんでるあやかを見てちょっぴりさおさんを思い出してしまった。青春賦のサビの前「ごめんねありがとうだけを」のところかな、後輩がみんなあやかに背を向けているのを2回目で気付きました。そこで歌がつまるあやか。後輩を上手くまとめられていないようす。よく出来てるなぁ、そこで表現するのかと。あやかが「自分にとってキラキラ(?)していたはずの演劇というものが"パサパサ"していく」と表現していたところが好きでした。パサパサ。味気のない感じ。反対語っていうと"しっとり"になるのかな。しっとりした演劇ってどうなの。

 

◾︎高田れにという人

私が一番、惹かれてしまった人です。どこか自分に重ねてしまったんだと思います。人の3倍仕事をしてやっと普通になれるということ。人の役に立つ仕事に就けば居場所が見つかると考え看護師という仕事を選んだこと。でも結局、地味な自分のままだったこと。そんな風に自分に自信のない女の子がカナコの夢とはいえアイドルになり、ステージでキラキラ輝いているようすが私は本当に嬉しかった。れにはアイドルを目指してたわけではなかっただろうけど、HEAVENの一人になれたことは、れにの居場所が見つかったということでもあるのかなと思うので、そういう意味ではれにの夢が叶ったってことでもあるのかな。夢は自信を持つことと言っていたし。

 

◾︎HEAVENのライブ

初日これを見た時は長いよなーと思ったけど、三曲ずつ節目節目が分かるようになっていたし、8人?とかでのフォーメーションが観れるのってなかなかないしDNA狂詩曲のサビとかは面白かったな。初日はペンライトがどうとかコールがどうとか色々気になってしまったけど2回目を観た時はもう流れが出来ている感じで普通に楽しめました。あとは、猛烈のおわりのほうでカナコだけが上の丸いステージに立って下で出来る円やライブ会場のお客さんを見てニコニコして今を噛み締めている感じ、なんだか私は切なかったです。一人だけそこにいることも。あとは、辞めていくメンバーに対し「それが正解!」っていうカナコのセリフはやっぱり、杏果ちゃんを推していたので響きました。そうだよねぇ、正解だよねぇって。"みんな正解"。ストンと心に落ちてきました。

 

 

 

◾︎体育館裏

カナコが消えてしまう前に最後にここだけはどうしても行きたいと3人を連れて体育館裏へワープしました。「夜になったらアカペラで踊ったよね」と話すカナコ。踊る4人。4人の声。虫の音。消えそうな月。暗く静かな世界の中、4人だけをまっすぐ照らす白いライト。スーパードームで歌って踊っていたあの時よりももっとずっと、綺麗で、大切で、特別なダンスでした。

 

やべー、書いてて泣いちゃうな。

 

 

 

 

◾︎カナコのセリフ

「みんなを笑顔にしたい。私にはそれ以外の世界はないの!」

どうしてもこれが泣けてしまった。ずっと考えられるセリフだと思っています。カナコのこのセリフはもう夏菜子ちゃんで、じゃあ私は寝ている間、夢の中に夏菜子ちゃんがやってきて夏菜子ちゃんに夢を見せられているのかなって。私の魂は抜けて、世界に入り込んでいるのかなって。ももクロって私がみている夢なのかなって。じゃあもう一人の私の中には何が入っているんだろう?そうじゃなくても、夏菜子ちゃんが夢見ていること、これから全部全部叶ってほしい。やりたいこと全部やって欲しい。

 

◾︎カナコのフライング

天国のでたらめの途中でカナコだけが消え(成仏し?)一人だけ白い衣装に身を包みワイヤーにつられて右から左へ、左から右へと宙を舞うシーン、光に照らされたカナコの影が後ろの壁にうつっていたのを見てなんて綺麗なんだろうと思いました。死んでしまった人には影がないイメージがあったので、影を印象づけるような演出をしたのはどのような意図があるのかと思い監督に聞きましたが各自の解釈でと言われました。ゆっくり死んでいくようすを描いて、身体が消えて(同じ衣装だけど色だけが抜けている)、影だけが残り、そして影もなくなって消えていく…ってことなのかな。そうやって少しずつ魂は消えていくのかな、死ぬ瞬間って。ただたんに照らしたら影が出来たってだけかもしれないですけど。その時に流れている歌が切なくてつらくてしんどかったです。ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?よりこっちの方がずっと私の中に残って、私の心をキュッとさせます。

 

ねえ 名前なんだっけ
どこで会ったっけ
いつのことだっけ
何をしてたっけ

 

どんな顔だっけ
どんな声だっけ
どんな人だっけ
どこが好きだっけ

 

忘れないように
忘れないように
明日も会おうね
約束しようね

 

生まれ変わっても
生まれ変わっても
変わらないでいて
見つけてあげるね

 

忘れちゃった歌じゃなくて忘れないようにするからっていう歌なんだけど、"ねぇ、名前なんだっけ"から始まるインパクトだけが心に残って、どうしてもあぁつらいと思っちゃう。忘れたくないよ。それに対して「バイバイ、忘れないよ」と笑うカナコ。

 

天国のでたらめはやっぱりここを含めての一曲なのでしょうか。私個人としては、あのシーンのためだけの歌であって欲しい。これから音源で聞けなくても、私が目で見て耳で聴いた音がここ(胸を二回叩く)にあるので。

 

 

 

 

 

カナコは、何回目の転生で3人を見つけられたんだろう。何枚先のミルクレープの世界なんだろう。あのあとはどうなったのかな、思い出せなくてもまた、4人は仲良くなれるかな。

 

忘れたくない、忘れない、そう強く願えば願うほど、大事なことから忘れてしまう感じがします。例えば記憶喪失なんかは、どうでもいい人のことは覚えているのに、大切な彼のことだけさっぱり忘れてしまっているみたいな話、ドラマでもよくあるじゃないですか?映画「君の名は」でも、三つ葉は滝くんの名前を繰り返し、覚えてる、忘れない、大丈夫大丈夫と坂道をかけて行くんですけど、つまずいてしまい転んで顔をあげた瞬間、もう滝くんの名前が思い出せなくなっている。

 

話がそれちゃったな。とにかく、忘れるって怖いな、忘れられるって怖いなっていうことです。

 

 

 

ももいろクローバーZさん、その他出演者の皆さん本当にお疲れ様でした。

 

私はここ最近正直、4人になったももクロに対して気持ちが落ち着いてしまって、ライブも足を運ばなくなり、実はファンクラブも、更新をしませんでした。0か10かの応援の仕方しか出来ない自分に腹もたったけど、それが正直な気持ちでした。でもこうして興味本位でミュージカルを観に行ってみて、観た人それぞれがいろんな解釈ができるから、初日から今日まで、毎日毎日ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?のことを考えていました。生きている作品を見ること、生ものを見ることは心が動き、イキイキとすることを改めて感じました。

 

私はもう一生好きでいるなんて簡単に言えなくなってしまったのだけど、また何か面白い企画やイベントがあればふらっと足を運びたいな。そしてそのとき感じたこともこうやっておうちに持ち帰って、じっくりコトコト煮詰めて、私の中の忘れたくない思い出にしていきたいです。

 

私はまだ、"生まれ変わってもまた私に生まれたい"とは思えません。普通に葉っぱのフレディになりたいし、お金持ちのおうちで大事に大事に飼われているゴールデンレトリバーになりたい。でも、また、私に生まれ変わったら、ももクロちゃんに会えるのかな。ももクロちゃんのことをまた見つけられるかな。それだけで、じゃあまた私に生まれ変わってもいいかもなと思えます。日常を見つめ直すきっかけをくれたドゥ・ユ・ワナ・ダンス?に感謝します。明日からも頑張ろう!

 

命をいっぱいに使えばそれが私のダンスなんだから!