眠れる森のビヨを見てきました



BEYOOOOONDSが主演の舞台、演劇女子部「眠れる森のビヨ」がこくみん共済 coop ホールにて4/16からその幕を上げました。観に行ってきたので感想を書きます。ネタバレばかりなのでダメな方がいたら見ないようにお願いします。配信のチケットはこちらから↓



ファン以外にはあまり知られていないかもしれませんがハロプロは昔から「演劇」に取り組んでおり、演劇女子部では毎年メンバーが舞台やミュージカルに挑戦しています。なかでもBEYOOOOONDSはデビュー曲「眼鏡の男の子」でも寸劇に挑戦したり、普段の曲でも台詞が入っていたり茶番があったり掛け合いがあったりと、他のハロプログループの中でもとくに演技にちからが入っており、2019年に「不思議の国のアリスたち」、2020年に「アラビヨーンズナイト」の公演を行なっていて今年で4度めの舞台への挑戦となります。

私個人の話をすると、ハロプロに関してはまったくの在宅なのですが先日友達とカラオケボックスで見たアラビヨーンズナイトのDVDがほんとうにほんとうに素晴らしくてめちゃめちゃ質の高い作品に頭を殴られ、絶対にこの子たちの舞台を生で観たい!この子たちの声をその場で聞きたい!といてもたってもいられなくなり新宿駅に降り立ちました。





今までのBEYOOOOONDSの舞台は、きらびやかな衣装を着たお姫様や魔法使いが出てきたりとジャンル分けするとしたら完全に「ファンタジー」でしたが、今回は今までの物語とはまったく違いました。わたしの中で舞台やミュージカルというものは出来ることなら何度か足を運びたい、千秋楽に向かってどんどん良くなっていくそういう過程を見たい。でも今回はつまらなかったとかそういうことではまったくなく、表現に魂を奪われてしまって、自分の琴線に触れるようなとてもヒリヒリとしたシーンがありとてもじゃないけれど1日に何度も見たりとかそういうことは私は出来ないと感じました。観劇したあとも、誰かと語り合いたいというよりはひとりでじっくり向き合いたいようなそんな内容のもの。



◎ストーリーの要約


高校演劇部に所属する男の子「ヒカル」とその部員たち、そして幼なじみの女の子「ヒマリ」との日常。演劇部はなかなか一致団結出来ず揉めながらも、ヒカルが台本を書いた「眠れる森の美女」をアレンジした物語を演じることに決まり、全国大会を目指し日々奮闘する物語。

ここまではわりと、高校演劇を扱ったものではありがちな流れだったのですが、この作品のビジュアルを見るに「眠れる森の美女」に出てくるオーロラ姫はヒマリ役の島倉りかちゃんだと、私はそう思い込んでいました。でもヒマリは演劇部には所属していないので不思議に思っていたところ、展開が進むにつれヒマリの姿はヒカル以外の人間には見えていないことがわかる。ヒカルが時々見る悪夢には、呼びかけても呼びかけても目を覚さないヒマリの姿と、ゴーンゴーンと脳内に響くひどく大きな音。そして車のブレーキ音が繰り返される。


少しずつ、日常がゆがみはじめ、歯車が狂っていく。



実は、

全国大会に向かう道中に部員を乗せたバスが事故に合いヒカル以外は全員、死んでいた。

ヒカルが過ごしていた仲間との楽しく幸せな日々は本当はすべて夢の中の世界であり、実際のヒカルは病院のベッドの上で5年間も眠り続けたまま。ヒマリはヒカルを現実の世界に連れ戻すために夢にあらわれていた。眠れる森の美女は、ヒマリではなくヒカルだった。




◎平井美葉ちゃんのこと


BEYOOOOONDSの舞台ではいつも誰かひとり、スポットライトが当てられますが今回はそれが平井美葉ちゃん演じる男子高校生「ヒカル」でした。美葉ちゃんはハロプロの先輩がたにもたいへん気に入られており、ハスキーな声やキレキレのダンスに反した赤ちゃんみたいにふやふやした雰囲気にギャップがあるとても魅力的な女の子です。


参照動画↓


今回の舞台を見てオタクの余計なお節介とわかっていながらも思ってしまったのは、わたしたちは平井美葉というこんなに素晴らしい才能を持った人間をハロープロジェクトに縛り付けてしまっているのではないか?ということ。美葉ちゃんは研修生上がりではなく一般のオーディションで合格したこともあってかハロープロジェクトに新しい風を吹かせてくれている気がするのですが、それは美葉ちゃん自身から溢れるジャニーズのような王子様オーラや特徴のある声だけでなく、観客側に訴えかけるあの表現力だとわたしは感じました。

ずっと、そこに平井美葉ちゃんはいなかった。平井美葉ちゃんによく似たヒカルがいただけ。

今ものすごく平井美葉ちゃんに会いたいです。"平井美葉ちゃん"に会いたい。そう思ってしまうくらい、美葉ちゃんは「ヒカル」になっていました。

わたしが、というか観劇した人たち全員が多分一番しんどかったのは、もう死んでしまった演劇部員のみんなとヒマリとの間にはさまれたヒカルの姿でした。自分が今いるこの世界は夢の中の世界だと理解したけれど、夢から覚めること=死んでしまった仲間たちを置いていくことはほんとうに幸せなのか?逆に見たいものだけ見て、聞きたいことだけ聞いて、そんな夢の中で現実から目を背けることは幸せなのか?死んでしまったみんなと5年間もヒカルが目覚めるのを待ち続けたヒマリ、双方からの「行かないで」「忘れちゃうの?」「それで幸せなの?」「どっちが幸せなの?」「それでいいの?」。ヒカルはどちらの道がほんとうの幸せなのか、正しいことなのかがわからなくなり泣き叫びます。

その時の、美葉ちゃんといったら………………(頭を抱えるようす)



美葉ちゃんのブログより引用↓

いろいろなんか…言葉にできない。
なぜならこの3日間でゲネプロも入れて怒涛の7公演だったので。
もうね、感情が迷子よ!
切り替えもそんな簡単にできないしさ。
終演後、会場出たらまだ明るくてびっくりしました笑
はぁ〜生きてるわぁ〜
お母さんのご飯おいしかった😋

そうだよなあ、そうだよなあと思います。普段俳優さん女優さんを見ていても思うことだけれど、演じるということはその人の人生を生きるということで。でも一回の公演であれだけの感情を毎回出し切らねばならない美葉ちゃんを想像するともう、それだけで苦しくなります。お母さんのごはんをいっぱい食べて、どうにか平井美葉でいられる合間の時間をゆっくり過ごしてほしいです。






◎この重たさはなにか


ヒカルは仲間たちに台本を書くことを任命され「眠れる森の美女」をアレンジしたものを書き上げるのですが、そのお話のラストは"お姫様は王子様のキスで眠りから覚めて幸せに暮らす"というラストに疑問を抱いたヒカルが大きく書き換えたものでした。

お姫様は王子様のキスで目を覚ますけれど、100年も眠っていたのだから浦島太郎状態。自分を知っている人は誰もいない。夢の中の方が幸せだった、起こしてほしくなかったと、そう言ってふたたび、自ら眠りに落ちてしまいます。ここがなんとなく、アイドルオタクとしてずっと夢の中にいたいと思ってしまっている自分に重なった。


そういうわたしのような人種に向かって、夢からさめなくてていいのか?逆に夢からさめることは本当に良いことなのか?この選択で苦悩する姿を見せるのは、まさにこちら側自身の内面で日々起こっているせめぎあいを見るようでもありました。

わたしにとって一番残酷で重たい瞬間、それは「夢からさめる」ということ。そこに主題をおいているのだとしたら、これはものすごい問いかけじゃないかな?オタクがそういう気持ちになるのはきっと、好きなアイドルの脱退や解散で大好きだった人が手が届かない場所に行ってしまうこと。

ヒカルは最後、自らの意思で夢から覚めることを選びます。もしわたしがヒカルだったらヒマリではなく演劇部を選んだかもしれません。みんなを乗せたバスが事故にあってしまったのはそもそもヒカルが遅刻をしたせいでもあり、遅刻の原因になったのはヒマリのせいでもあった(もちろん一番悪いのはトラックですが)。


目を覚まし、罪悪感の中で苦しんで
生きることは幸せなのかな?

何が幸せなんだろう?

何をもって人は幸せと言えるんだろう?

生きること=幸せではない。


 



◎ドルオタとしての感想

今回、BEYOOOOONDSのメンバーみんなの演技力や表現力に改めて驚かされました。 どうしても好きなアイドルや俳優さんきっかけで舞台を観に行くと、本番中でも役じゃなく本人のことを見てしまうことがほとんどだったんですが(例えばお姫様の衣装を着てる◯◯ちゃんかわいいな…とか)、この子たちの作るステージというのはもうその役にしか見えなくて、そこにBEYOOOOONDSのメンバーはいなかったように感じます。外見こそメンバーであれ、魂は完全に別人というか。


演劇部員のひとり、ショーコ役を演じた清野桃々姫ちゃんもブログでこう話していました。

今回、何も見え方とか意識してなくて、(いいの〜〜?)いや、してるんだけど、

全くみなさんを感じず、ただただショーコを生きています。他の子もそうだと思うな〜、。

前回の舞台アラビヨーンズナイトではお客さんありきの演出があったし、そこで生まれるエンターテイメント性みたいなものもあったけど今回は全くそういうのがなくて、桃々姫が書いてるように"ただそれぞれを生きてる"という感じがしました。ほんとうに現実に存在していそうな高校生。個人的にそれは、お姫様や魔法使いといった架空の人物を演じるよりはるかに難しいことと感じます。

今回の舞台は普段の本人の性格とはかけ離れた役をもらっている子も多く、ひとりひとりがすごく役柄を作り込んで出来上がっていることがわかりました。他のフェスの準備をしつつのこの出来なので本当に尊敬します。いつだってわたしがアイドルにやられてしまうのはそういった、表に出ない努力を感じる時でした。

BEYOOOOONDSはかっこいい。当たり前のように全員歌が上手い。12人で走り切ることの喜びを一度味わった子たちだから、もっともっと高みを目指そうと思えるのだと思います。そういう感覚ってなんだか運動部の部活みたいで憧れるなあ。





◎アイドル演劇


アイドル(というか好きな人たち)の舞台を何度か目にし、トラウマになったことがひとつありました。

それは、舞台上で誰かが死ぬこと。


数年前に観に行ったももいろクローバーZのミュージカル、ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?の中でも序盤から彼女たちは交通事故にあいその人生に幕を閉じました。あれは本人たちでなく役だということをわかっていても心臓を掴まれたような気持ちになったことを覚えています。今回はもっとひどかった。照明がチカチカとひかり、けたたましいブレーキ音が鳴り響き、次にうつったステージ上に目をやると全員地面に横たわっている。あの光景を見たヒカルは、美葉ちゃんはどんな気持ちだっただろうか?



わたしはアイドル演劇を求めているわけでも、プロの演劇を求めてるわけでもなく演劇についてまったく詳しくないので何も言えません。

ただわたしはBEYOOOOONDSの演劇が好きで観たいだけ。BEYOOOOONDSが何を目指してて何をどう表現するのかをこれからも観続けたい、ほんとうにただそれだけです。




眠れる森のビヨは2021年4月16日から4月25日までこくみん共済coopホールにて上演されています。たくさんの人に見てほしいというオタクの声を組んでか、本公演の配信も決定しました。チケットの販売期間は4/19(月)17時から4/30(金)24時で、視聴期間は4/29(木祝)14時~5/1(土)14時となっています。


どうかBEYOOOOONDSの舞台が内輪で終わることなく、たくさんの人のもとに届きますように。そして評判が広まって、演出家がこぞってBEYOOOOONDSに演出したいと思わせるような、オタクがチケット取れない!!みたいなムーブメントになってほしいな、なんて、そう思います。




おわり


宮本佳林ちゃんご卒業に寄せて

 

 

ハロープロジェクトのアイドルグループJuice=Juiceのメンバー、宮本佳林ちゃんの卒業コンサート日本武道館にて昨日行われ、そのライブビューイングに行ってきました。

 

 

佳林ちゃん、卒業おめでとうございます。

 

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今まであまりハロプロについてまとまった文章を書いてきませんでしたが、この機会に書いてみることにします。

 

私がアイドルを好きになったのは小学生の頃でももちのいたBerryz工房が始まりでした。モーニング娘。も好きだったけど、"アイドル"として認識してなかったかなあ。それから一定の距離感を保ちながらハロープロジェクトのアイドルたちのことを見てきましたが、ぶっちゃけひとりひとりの性格やメンバー間の関係性にはあまり興味がなくて、ただシンプルに彼女たちの曲が好きで、パフォーマンスに惹かれて現在に至ります。

 

実際、ライブにも行きませんでした。理由としては私の中でももいろクローバーZというアイドルが大切すぎて、好きなものを同時にふたつ持てなかったからという部分が大きいのですが、ハロプロの現場においては会場の空気感を生で感じたいとか、アイドルたちに声を届けたいとはあまり思わなくて「顔面が良く見えるかどうか」ということに重きを置きがちでした。ライブは別にライブビューイングとかスカパーでいいじゃんと思っていました。そんな中途半端な私でも、佳林ちゃんの卒業となればその場に駆けつけなくてはと思った。コロナのことがあり結局東京へ向かうのは諦めたのですが…

 

 

 

今年の2月に卒業発表があった時、Juice=Juiceから佳林ちゃんがいなくなるということはわたしの中でAKBからあっちゃんがいなくなるのと同じ意味で、それはひとつの歴史が変わる瞬間のように思いました。だけど、心のどこかで納得している私もいました。いつか来るものがやってきた、明るく見送ろうという気分にさせるような発表だった。

 

佳林ちゃんは研究生の期間を含めると12年、Juice=Juiceとしては7年ずっと第一線で活躍し続けてきました。本当にすごいです。12年間って言ったら「1ねんせーになったら〜1ねんせーになったら~♪」の子たちがもう中学生になる年齢だし(?)。不遇を経験したり、病気を繰り返したりと正直順風満帆なアイドル人生ではなかった思います。きっと抱えているものも大きいし、ふざけているように見えてグループを担う存在としての責任感もちゃんと持つタイプだと思うので、心の繊細さが心配でした。でも彼女は乗り越える強さも持ち合わせた人だった。逃げずにきちんと向き合って、それすらも大きな糧にして自身の表現力に繋げていました。よく「歌で届ける」とアイドルが言いますが、佳林ちゃんは気持ちを歌に乗せてぶつけてくるのが上手でした。個人として自分を好きに表現できる場での佳林ちゃんはそれはそれはのびのびとしていて、ソロでの活動を見ているとグループから卒業していく理由も見えてくるようでした。

 

彼女はとてもライブが好きな人です。ステージに立ったとき、最初から最後まで頭のてっぺんから指の先までかわいさに余念がない、そんなアイドルのことを「プロアイドル」と人は呼ぶと思うんですが、佳林ちゃんはまさしくそれでした。佳林ちゃんのパフォーマンスはいつどの瞬間を切り取っても、その顔、その表現に、嘘偽りない表情がありました。だからこそいつだってかわいい。そしてそのかわいさは、パフォーマンスが完璧だからこそ生まれます。その根本にはハロプロが好き!っていう気持ちがあって、ハロプロじゃなかったら発揮出来てなかったであろう熱さもある。

 

私は「この子が歌うから歌詞が意味を持つ」瞬間が好きです。「ひとりで生きられそうってそれってねえ褒めているの?」という曲の中では"頼りにしてるよなんてそれって喜んでいいの?"という歌詞がありますが、佳林ちゃんが歌うとセンターに立ち真ん中を背負う彼女の叫びのようにも聞こえてきました。ひとりで生きられそうとは言われなかったかもしれないけど、なんでも出来るって思われてきたであろう佳林ちゃんに重なりました。佳林ちゃんの歌う"私の全部捨ててしまおうか"は例えばスキャンダルを起こしたメンバーにそれを歌われてもあなたの全部?は?となりますが(最悪)佳林ちゃんの全部はめちゃくちゃ"重み"だし、"なんて大きな愛に包まれているの"は佳林ちゃんを取り囲む360度のステージ全てが花畑に変わるようです。

 

佳林ちゃんが歌えばいつも、教会の鐘がなるようでした。佳林ちゃんを差すやわらかな白いひかりは佳林ちゃん自身から発光されているようにも見えました。

 

 

 

卒業コンサートでは、佳林ちゃんがメンバーひとりひとりとタッグを組んで二人で曲を届けるメドレーのコーナーがありました。

 

どの曲もメンバーそれぞれのイメージにあった選曲でとても素晴らしかったです。と同時に、佳林ちゃんの曲に合わせてくるくる変わる表情にとても惹きつけられました。佳林ちゃんは瞳の使い方、視線の向きでその曲に物語を作り、歌詞の主人公になる人です。アイドルの魅せ方には色々なパターンがあると思いますが、佳林ちゃんは圧倒的に憑依型でした。かわいい曲もかっこいい曲もセクシーな曲も全部一瞬で佳林ちゃんの色に染めていて、Juice=Juiceの曲をJuice=Juiceの曲にしたのはいつだって佳林ちゃんの歌声だった。

 

佳林ちゃんが卒業するということは、エースが居なくなるとかそういう簡単な話じゃないです。この声と唯一無二の表現力を持った宮本佳林という人間がずっとJuice=Juiceの道しるべだったと思います。そしてJuice=Juiceのメンバーそれぞれが持っている顔や個性それらはすべて、宮本佳林の顔と魅力を語っているように思えました。佳林ちゃんが特別なのも可愛いのもヤバいのも感情の人なのも明るいのも切ないのも全部全部、Juice=Juiceは宮本佳林で、宮本佳林はJuice=Juiceだったからだと思います。

 

彼女たちはMCが苦手なグループです。だけどいつだってパフォーマンスで有無を言わさなかった。私はその歌って踊るということだけでもファンを増やすことが出来る、圧倒的な技量が好きでした。実際卒業コンサートもそんなに昔を懐かしむようなMCもなくて、息つく間もなくどんどん次に進んでいった2時間半でした。お涙頂戴ではなく笑って、ちゃかして卒業していくのが佳林ちゃんらしかったです。最後の最後、ひとりでステージに立ち武道館を見渡す佳林ちゃんのなんともいえない表情を見て、どんなことを感じてるのかな、でもそれはこちらには教えてもらえないだろうな、なんて思ったり。

 

佳林ちゃん、ほんとうにJuice=Juiceでいてくれてありがとう。

 

卒業おめでとう。

 

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----------------キリトリ線----------------

 

 

 

現在、ハロープロジェクトのアイドルはモーニング娘。アンジュルム、Juice=Juice、つばきファクトリー、BEYOOOOONDSと研究生で構成されています。

 

今でこそ女性雑誌の特集で取り上げられたりだとかジャニーズと兼任する女性ファンも増えてきていると思いますが、正直モーニング娘。以外は結局頑張ってもどうにもなれないじゃんということをたまに感じます。というのも、モーニング娘。高橋愛ちゃんや田中れいなちゃんが卒業し、Berryz工房や°C-uteが経歴的に圧倒的に上になってもモーニング娘。がいつも大トリで、どの集合写真もモーニング娘。が真ん中を陣取っていたりだとか、テレビ出演もモーニング娘。ばかり。そりゃあだったらモーニングに入りたいよなって思います。そういうどうにもならない壁をメンバー自身も感じてしまってるんじゃないかなと思います。

 

ゴールが見えないんですよね。昔みたいにバーンと売れてテレビにでていい思いだけでやめられればいいんだろうけど、下手したら自分の名前はおろかグループ名すら世間に知られていなくて、卒業後はマイナーな舞台に出てたまにファン向けイベントする道しか残されていない。「ハロプロで何を目標にしてやればいいのかわからない」っていう未来をメンバーが感じてしまっているのではないかなというのが私の見解です。ハロプロの歌をうたいたい!この先輩みたいになりたい!っていう遺産も少なくなってきてるんじゃないかなとも感じるし、この連鎖は正直止まらないんじゃないかなあ。

 

真面目な人ほど損をする世の中とは言いますが本当にそうで。モーニング娘。じゃなきゃ人気出なかっただろうなっていう子が簡単に歌割りをもらって、簡単に武道館に立っているのを佳林ちゃんはどんな気持ちで見てたかなあと思ってしまいます。もちろん運も実力のうちだし、どんなに才能があっても受からなかったということはモーニング娘。には合ってなかったのかもしれないけど…。でも何となくモーニング娘。に入れて何となくやってる子の陰で、なかなか報われなかった山あり谷ありな佳林ちゃん。スマイレージの二期もそうですが、そういう子みるとやるせない気持ちになります。

 

佳林ちゃんが歌ったソロ曲に「答えはいつだって未来にしかないよ」「ここにはなくたって作り出せるよきっと」というフレーズがありました。

 

ハロープロジェクトのアイドルたちの未来がどうか報われますように。輝き続けられますようにと、そう願います。

 

 

 

 

少年アヤ「ぼくの宝ばこ」を読んで

 

 

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大人になってから、ぬいぐるみを全部処分した。

 

もう私には必要のないそれをただゴミ箱に捨てるわけにもいかず、段ボールに詰めて送るだけでどこかの国の子供たちに寄付できるというサービスを使った。

 

小さい頃の私はリカちゃん人形にもシルバニアファミリーにもセーラームーンにも興味がなかったけれど、なぜかぬいぐるみだけは大好きだった。リカちゃん人形は誰が持っていても「リカちゃん」だったけれど、私の持っていたいぬやくまのぬいぐるみには名前がなかった。たくさん話しかけ、毎日枕の横に並べ、毛布をかけて一緒に眠った。寂しい夜は抱きしめた。小さめのぬいぐるみにいたっては、ななめがけのクリアバッグに入れてお出かけに連れて行った。

 

シベリアンハスキーの「クロ」

ラブラドールレトリバーの「ラブ」

くまの「   」

垂れ耳うさぎの「   」

ダックスフンドの「   」

 

もう自分でつけた名前も思い出せないぬいぐるみたちは、今アフリカやカンボジアの誰かの腕の中にいるのだろうか。遠い遠い昔のこういった記憶がじんわりとよみがえってくるような、やわらかくさりげなく詩的な文章。それが少年アヤさんの「ぼくの宝ばこ」でした。ご自身のセクシュアリティや恋愛や家族の話と織り交ぜて、「かぐわしいもの、きらめくもの」への愛をつづっているエッセイ集です。アヤさんのことはよく知らなかったけれど、好きな文章を書く方がこの本をおススメされていたのですぐに買いました。エピソードごとにタイトルがついていてお話が分かれており、ご自身が大切にされている宝ものたち(これはものばかりではなく場所や情景なども)が思い出とともに文章の中でかわいらしく光を放っていて、ひらがなで書かれている言葉からは逆に力強さも感じる。いっきに読んでしまうのがもったいなくて少しずつ少しずつ読みました。

 

 

 

 

「ぼくはかぐわしいものが好きです。きらめくものが好きです。それだけのことで、うんこみたいな扱いを受けてきました」

 

最初のお話「ほんとうを生きたい」は胸を締め付けるこの文章から始まります。ママレードボーイのレターセットやシール、キラキラのセボンスター、ハートカンパニーのジュエリーボックスが好き。かいじゅうとくまならくまのほうを選ぶし、剣とステッキならステッキのほうがいい。どう感想を抱いたらいいか分からない鯉のぼりとは違ってお雛さまの方が魅力的に見えた。でも"男の子"であるがゆえにそれは普通じゃない、おかしいとされてきたこと。それは友達が言われている「テレビゲームをしちゃいけません」とか「キックボードに乗っちゃいけません」とかそれらの禁止とはまったく違う気がしていたこと。

 

ふたつめのお話「まっくろランドセルの怪」では"幼稚園ではみんな同じ格好だったのに、小学校になったとたん黒いランドセルを背負わされた"ことによるとてつもない絶望と拒絶が書かれているのですが、私は自分がそこに無意識だったことにハッとしました。ランドセルの色から男女の明確な区別が始まっている。幼稚園までの、みんな一緒という穏やかな空気をいっぺんにぶちこわすちからがランドセルにはあり、お前は黒、絶対黒の方へ行くんだよと監視されている。そのうえ好きなものまで否定されてしまっては、ナスみたいにつるつるしたあの真っ黒いランドセルに吸い込まれて消えてしまう、そんな気持ちだったと書かれていた。最近ではランドセルの色も自由に選べるようで女の子が黒や青を背負っているのも道でみかけるし、どうやら男の子だってプリキュアになれるらしい。今、世の中は少しずつではあるけど変わっていってるのかなあ。それは誰かが「おかしい」と声を上げ続けたからだろうなあ。

 

 

 

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去年から二丁目の魁カミングアウトという「ゲイアイドル」を応援するようになり、今まであまり関心のなかったセクシュアルに関する声や悩みが以前よりも目に入るようになったと感じています。ここの現場に通うようになった始めの頃は「ゲイの人たち」とはどう接するのが正解なのか?かわいいと言われるのは嬉しいのか?私は女だけど応援されて嬉しいのか?というようなとまどいがありました。でも彼らの等身大を歌った曲を聞いたり活動を追っていくうちに"ゲイだとか関係なくみんなと同じような悩みを抱えている"ことを知ったし、その人の中身に惹かれた場合、性別が何かなんてものはさほど大きな問題ではないと知った。私の推しのミキティー本物さんは「"自分を好きになれる活動"をしていきます」とたびたびお話してくれます。少年アヤさんはアイドルではないけれど、この人にとっての"それ"は自分を形づくる好きなものたちを大切に想うことそのひとつひとつなのかなあと勝手に想像しました。

 

好きなものがあることで、もしかしたら自分のことも好きになれるかもしれない。同じく応援している二丁目の魁カミングアウトのメンバー、ぺいにゃむにゃむさんのこのツイートはどうしようもない私自身のことを肯定してくれるような言葉で大切にしています。自分を好きでいることは相変わらず難しいけれど、でも私は私の好きなものや好きな人たちを想うこの気持ちには自信がある。私が選んだものは最強でしょう?って自信を持って周りに言える。そんなものがアヤさんにもたくさんあるんだな、と感じました。とても、羨ましくなるくらいに。

 

 

 

 

私は時々、自分が何を好きなのか分からなくなります。子供の頃、好きな色を聞かれれば即答で水色と答えることが出来たけど、大人になってからはその時々で好きな色も変わる。着たい服も毎日変わる。何が好きか分からなくなった時、私はなんとか自分の「好きなこと」「やりたいこと」を見つけたいと探しはじめます。でもやっぱりわからない。探しても探しても見つからなくて焦ってしまう。やがて「見つけたい」が「見つけなきゃ」に変わっていく。だんだんとプレッシャーになってくる。これは好きかもしれないと思いやってみるものの、たいしてそうでもなかったものだってあります。"なんとなく"好きなものならたくさんある。でもそれは本気でそれらを愛している人たちに比べればとても薄っぺらいもので、そんなことは本来気にしなくていいはずなのになんだか申し訳なくなってくる。だからアヤさんの一本芯の通ったような強い「好き」の気持ちが、ぶれぶれの私にはとても眩しく映りました。私はもともとママレードボーイのレターセットやシール、キラキラのセボンスター、ハートカンパニーのジュエリーボックスが好きだったわけではないです。でもこの本にここまで惹かれてしまったのは何よりアヤさんの言葉の紡ぎかたが好きだったからです。

 

「きみはどこにも香らない」というお話の中では、苦手な香水をつけると「ぶあつい膜にでもおおわれた気分」になると書かれていて、でも香りがその人にあっている場合その膜が身体とぴったりとくっついていて、その人自身の香りみたいに思えるといいます。逆に香水をつけすぎているとその人自身のにおいがなくなるようで、"まるで正体を隠しているみたいだ"と。

 

「恋をしたときのこと」というお話では、恋をしたら自分以外のすべてが相手になることについて書かれており、脱ぎ捨てられた赤い靴下やテーブルの上の青い目薬を見つめながら宇宙の始まりについて思いを巡らせていました。その文章の最後を締める言葉は"だってきみが好きだから"。たまらなくなってしまう。

 

 

 

 

私はこの本をかわいいものが好きな人たちにはぜひ読んでもらいたいし、逆にそういったキラキラしたものにどこか抵抗がある人にも手に取ってもらいたいです。なにより、今どこかでうんこみたいなやつの声に苦しんでいる誰かのもとにこの本が届いて欲しい。

 

自分を"大丈夫"にするアヤさんなりの方法がいたるところに書かれていますが、私はきっとこの先嫌なことがあっても、この本を開けば"大丈夫"になれる。そう思いました。アヤさんの文を読めば、自分の好きなものたちがよりいっそう愛おしく思えるし、なにげなく過ごしていた日常が今日からは少し光って見えます。

 

きっと、あなたも。

 

 

 

 

 

 

 

 

私立恵比寿中学「playlist」を聞いてくれ

 

 

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私立恵比寿中学の皆さん、このたびは「playlist」発売おめでとうございます!そしてオリコンウィークリー1位!本当におめでとうございます〜!2019年12月18日に発売された6枚目のこのアルバムにかなりの衝撃を受けたので、そのことを文章に残そうと思います。音楽のことは詳しく分からないのですが、感想なら誰でも書けると思うので。

 

まずはじめに私はエビ中ではなくももいろクローバーZさんのオタクであり、唯一見たことのあるエビ中のステージは2014年に国立代々木競技場第一体育館で行われたgirl's factoryだけです。その時は8人体制だったかな。ちゃんと曲を聞いていたのもシングルでいうと「夏だぜジョニー」あたりまでで、その頃からのエビ中のことはあんまり知らないです。今は6人なのか、へぇといったレベルで、ワイワイと楽しい曲を歌うグループのイメージのまま、かなり昔で止まっていた。そんな私の頭を殴ってきたのが、今回のニューアルバム「playlist」です。

 

 

 

 

 

このアルバム、シンプルに言って

 

 

 

 

 

 

 

 

最高では………

 

 

 

 

SNSエビ中の新しいアルバムが良いという評判がちらほら流れてきたので、軽い気持ちでサブスクダウンロードしてみたら一曲目からえ?これエビ中か?本当に?となり、聞いたことのない雰囲気の曲ばかりで聴き進めていくうちに天才、天才、天才フィーバーじゃん!って大興奮してしまった。いや〜本当にびっくりしました。すごいよ私立恵比寿中学。っていうか情報量が多すぎる。え、今のエビ中ってこんななの?まずめっちゃ歌上手いやん。こんなに歌上手かったっけ?それに加え楽曲自体がすごくオシャレで大人っぽくて、それでいてちゃんとエビ中らしさも盛り込まれていて。え、今のエビ中ってこんな歌を歌えるんですか?すごいよすごいよすごいよ。いやー、知らなかった。知らなかったよ〜。

 

 

 

 

01. ちがうの
作詞・作曲:ビッケブランカ  編曲:横山裕章、ビッケブランカ

まず本当にエビ中か?という感想が一番にきてしまうんですが、明るく可愛らしくイントロがなんとなく朝日が昇るように感じられて、アルバムの一曲目にふさわしい曲じゃないかなと私は感じました。なんかオリンピックのイメージソングみたいじゃないですか?メロディーの感覚の話です。なのに歌詞を読んでみると繰り返される"ちがうの"は言い訳や弁解をしているように見えて、浮気の許しを相手に求めているような内容なのかな。でも許しを求めているように見えて、最後の「誰だって一人じゃないように君だってそうじゃない」はなんだか開き直りのように感じます。"別に君の代わりはいるんだからね"みたいな。うーん、でも「たくさんの愛と出会うんだ 後悔涙も拭うんだ」からはもう弁解を諦めて次の恋へ進んでいるようにも感じる。まあ全部予想ですがこんなにポップで爽やかなサウンドなのにそんな内容を歌っていることに驚きました。だって朝寝坊ごめんなちゃい🎶エビフライあげるからおねがい許して先生🎶って歌ってたグループだよ?この一曲だけでエビ中の印象がガラッと変わるし、そんな曲がまだ一曲目だなんてすでにこのアルバムの凄さを物語っています。

 

柏木 歌うときは「切なさを出したいんだけど、その中にあるちょっとした微笑みを出して」ってすごく言われました。

中山 語尾の置き方をすごく細かく言われました。

私立恵比寿中学「playlist」インタビュー|いろいろあった10周年、集大成のその先へ - 音楽ナタリー 特集・インタビュー 

この柏木ひなたさんのいう"微笑み"が私が"開き直り"と感じる部分に繋がるのかもしれない。そして中山莉子さんのいう語尾の置き方は最後のラップの部分かな。ビッケブランカさんが直々に最後の「わー」は「wa」で効果音として歌うんだよということを指導されたみたいで、インタビューの中でそういう裏話みたいなのを教えてくれることも嬉しい。今回のアルバムが良すぎてほぼ全部のインタビューを読んだしVDCも読んだ(※エビ中のオタクではありません)。

 

 

 

02. SHAKE! SHAKE!
作詞・作曲:雫 編曲:ポルカドットスティングレイ

小林歌穂さん!!!!!!!!!小林歌穂さんのために作られたのではと思うほど(実際そうかもしれないですが)声質が曲調に似合っていて、地声であの高さが出るのがすごすぎる。私が普段聞かないような楽曲だけど、オシャレな曲調も小林歌穂さんの歌声を通して聞くことですんなりと自分の中に入っていく感じがあります。これまでの著名人に提供されてきた曲もですが、"誰かの曲"を"エビ中の曲"に出来ているのは彼女の歌声が大きいんじゃないかな。聞いているとなんだかフカフカのお布団の上で寝転がっているような気持ちになるし、本人もニコニコで歌ってるんじゃないかなと想像出来てしまって可愛い。

 

サビは「私、このままなんにも知らないまま歩いていく」っていうのんびりマイペースに我が道を行く!って感じなのにその後に「始まってないから終われない」って歌ってるところがかっこいいなあ。こんなに新しい表情を見せてくれるアルバムの中で"まだ始まってない"と歌うなんてどれだけ秘めた顔があるの?!!と興奮してたまらない。メロディー的にふんわりと感じるけど実は芯の強い女の子の歌なのかな。そんな本音みたいな部分がラップのところで出てくるのが面白い。ライブで「さあいけんのか?やれんのか?ついてこれるやつは返事しろ!」なんて歌われたらブチ上がらないわけなくないか〜〜〜?!そういったコールアンドレスポンスも楽しそう。

 

小林 私は今までずっとフワッフワ生きてきて(笑)、ホントに楽しい面しか見てなかったけど、最近は楽しいと思っていたことの裏にはこんなことがあったとか、こんなことがあったはずだけど私は知らずに楽しく過ごしていたんだなと理解できたんですよ。来年20歳になるんですけど、全然準備間に合ってなくない!?みたいな。そんなとき、この曲の「私このまま何も知らないままで歩いてく」という歌詞を見て「知らなくてもいいんだ。もうスキップしてサヨナラしてやる!」って思ったんです(笑)。

私立恵比寿中学「playlist」インタビュー|いろいろあった10周年、集大成のその先へ - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

インタビューによると小林歌穂さんと中山莉子さんにとくに歌詞が響いたようで、メンバー自身も歌うことで自分の考え方が変わるような楽曲をもらえることってすごく嬉しいことだと思います。

 

 

 

03. 愛のレンタル
作詞・作曲 : はっとり 編曲:マカロニえんぴつ

ちがうの→SHAKE! SHAKE!→愛のレンタルの流れがすご〜〜〜く良くて、ずっと浮遊感やまどろみのようなものを感じ、この流れを一生聞いていられます。このアルバムが無限ループ出来てしまう理由のひとつはこの位置にこの曲があるからじゃないでしょうか。

真山 別の取材でメンバーが「これは恋愛の歌だ」って答えていて、私は「そうなんだ?」と思ったんですよ。「愛のレンタル」って毎日してるなと思うんです。それは恋愛だけじゃなくて、生きるうえでのテーマとも言える、人に優しくするという人間として生きるための初歩的な“愛”だと解釈していて。

私立恵比寿中学「playlist」インタビュー|いろいろあった10周年、集大成のその先へ (2/3) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー

まずこのインタビュー内での真山りかさんの発言にびっくりしました。概念のような人……。二丁目の魁カミングアウトのミキティー本物さんと愛について対談して欲しいんですが、どうですか校長先生。歌詞は全体的に切なく後ろ向きな印象を受けます。「夢の中で僕を探して?」なんてとくにきゅううっとなるし、「愛していたいのに」「大袈裟に欲しがってほしいのに」「愛してみせるのに」の"のに"がその切なさを倍増させているのかな。Aメロの部分は韻を踏んでいるような歌詞が多く、そういった遊びがなんとなくエビ中らしさを感じる(私のイメージの話です)。あとアルバム2曲目のSHAKE! SHAKE!で小林歌穂さんや中山莉子さんが大人になる準備が間に合ってない!と話しているのに、この曲では「先生の言うこと10年たって響いたぞ」って歌ってるのも正反対な感じがして面白いです。だってまだ二人には先生の言ったことはきっと響いていない。だからこの曲は数年後に聞いてこそもっと深みが増すような、未来に期待を持って作られた曲なのかな。未来が楽しみになる一曲だと感じます。どの曲にもここが心臓だ、と思えるフレーズがあると思うのですがこの曲にいたっては中山莉子さんの歌う「忘れないでね、忘れてしまったこと」ではないかなあと思います。いや〜、深い。この深さを私の言葉では上手く語れないです。忘れてしまってもいいけど、忘れてしまったことまでは忘れないで、なんて。なんてささいな願いなんだろうか。

 

 

 

 

04. ジャンプ
作詞・作曲:石崎ひゅーい 編曲:トオミヨウ

また雰囲気がガラッと変わって、姿勢を正されるような気持ちになります。これ本当にエビ中のアルバムなのかな….?もしかしたら違うかも?(そんなわけあるか)。このアルバムの中で一番私の中のエビ中のイメージに近いのがオメカシ・フィーバーなんですが、それではなくこの曲を押しているところからこのアルバムで一番伝えたいことを表しているように思います。星名美怜さんもこれからのエビ中の代表曲になってくれたら嬉しいと言っているし。

 

Aメロ、Bメロとシーンとしたようなどこか孤独感があるけど、続く安本彩花さんの歌唱でいっきにサビまで温度が上がる感じがする。なんだろう、この人の歌い方は歌唱でもあり語りのようにも聞こえて、すごく情に訴えてくるものがあって「ビルの屋上には一番星 手を伸ばしたら、届きそうでさ」のところなんか、もう「ん〜〜〜っ!」となってしまう。空高く手を伸ばす安本彩花さんの姿が想像出来る。届きそうで届かない微妙な距離感みたいなものを歌い方ひとつで表現出来ることがあるかよ。この曲の心臓は文字のまま柏木ひなたさんの歌う「これは心臓のドラマだ」だと思います。「おとぎ話じゃ終われない」という歌詞からは、一曲目のちがうのの歌詞にもある「始まってないから終われない」と同じエビ中の覚悟のような力強さを感じて、心臓が握られるような感覚になります。すごい…すごいな………。

 

 

 

05. I’ll be here
作詞・作曲 :iri 編曲:ESME MORI

何度も言ってしまいますがこれ本当にエビ中のアルバムなのかな….?もしかしたら違うかも?(そんなわけあるか)。とても洋楽的でエビ中として新しいだけでなく、アイドル界の中でもこれを歌えるグループなんてかなり珍しいと思いました。街中で流れていたとしても絶対エビ中が歌ってるなんて思わない。めちゃくちゃオシャレ。こういう曲はどうやって自分たちの色に染めていったらいいのか難しくてメンバーもすごく悩んだんじゃないでしょうか。誰かの真似だったらせっかく楽曲提供してもらった意味がない。挑戦の曲だと感じます。だからこそ今までエビ中なんて聞いたことがない層にも届くきっかけになると思うし、この曲を入り口にエビ中の沼にハマる人がいるって考えるとすごく面白い。I’ll be here新規ですって言ってみたいもんね。

 

 

 

06. PANDORA
作詞:New Nix 作曲・編曲:PABLO

星名美怜さんにフィーチャーされた曲。YouTubeに上がっていたライブ映像を見るとお姫様のような扱いを受けていて、あーりんみたいでいいな〜(?)と思いました。すっごい高音!メンバーそれぞれにこの子にしか出来ないって曲があると嬉しいな。テンポも早くてライブで盛り上がりそうだなあと思います。個人的にサビの安本彩花さんのパートがスコーン!って感じがしてめちゃくちゃ好き。

 

 

 

07. シングルTONEでお願い
作詞・作曲・編曲:ポセイドン・石川

何度も言ってしまいますがこれ本当にエビ中のアルバムなのかな….?(何回目)。ジャジーな感じで夜に散歩しながらとか、あとは雨の日にしっとり聞きたくなるような曲。

-アルバムの中でって感じるのはどの曲ですか?

中山 私はポセイドン・石川さんの「シングルTONEでお願い」ですね。一番最後にレコーディングした曲なんですけど、初めての歌い方だったんですよ。私、いつも思いっきり歌うんですね(笑)。だから、この曲をどう歌えばいいかわからなくて。小声というか、大人しく歌うのは自分の中ではダメだと思っちゃうんですけど、初めてそういう感じで歌って、「いいよ」って言ってもらえて。新しい発見をしました。でも、難しかったです。

私立恵比寿中学 結成10周年。集大成ではなくこれからの先を見据えた最新アルバムについて、星名美怜と中山莉子に訊く。 | 【es】エンタメステーション

中山莉子さんはインタビュー内でこの曲が一番どう歌えばいいのか分からなかったとお話していますが、きっと歌い続けていくことで自分の中でハマる日がくると思います。それがいつかは分からないけれど、その日がきっと中山莉子が"化けた日"になるんじゃないかな。それに私には誰がどこを歌っているか分からないくらいメンバー全員の声が混じり、溶け合っていると感じます。すごいよエビ中。ポツリ、ポツリとした歌い方がこんなにハマるのか〜。知らなかった知らなかった。

 

 

 

08. オメカシ・フィーバー
作詞 :児玉雨子 作曲:加藤肇 編曲:大西省吾

シングルTONEでお願いのフェードアウトするような終わり方からこの曲のイントロが流れることでいっきに熱が上がる感じがたまらない!初めて聞いた時からキターーー!と思いました。一番エビ中って感じがします。というか一番正統なアイドルソング。ライブで見たらすごく楽しそう。楽しそうな曲だけどサビなんかは一発ではなかなか覚えられないような歌詞の並びだったりしてそれ込みで楽しくて面白い。この曲が好きならアンジュルムの「46億年LOVE」もハマるんじゃないかなと思うのでこれを読んでくれている人はそれも聞いてほしいです。今知ったけど作詞の人が同じなんですね。そりゃハマるわな。

 

中山莉子さんにフィーチャーされた曲ですが、「惚れちゃって」という歌詞を歌っていて勝手にハイタテキの「惚れた?」を思い出しました。2014年発売だったからあれからもう5年。いやー、まだまだ長く続いていくグループだろうなあと感じる。すごいよエビ中。で、そろそろももクロにもこういう曲くれませんか?(小声)。

 

 

09. HISTORY
作詞 :私立恵比寿中学 作曲:徐賢眞 編曲:谷村庸平

アルバム制作の会議のときに「10周年の記念曲を作りたい」という提案があったことから、メンバーが作詞に挑戦した曲だそうで、オメカシ・フィーバーまでの流れとはまた違った、とてもあたたかい楽曲です。この曲をライブで歌われたら、私がエビ中のオタクだったら涙で前が見えなくなってしまうんじゃないかと思います。私には分からないけれど、フレーズひとつひとつにメンバーやエビ中ファミリーにしか分からないような思い出がきっとあって、だとしたらこの曲はゆいつアルバム内で今まで一緒に手を取り合って歩いてきた"エビ中のファンに向けて"の曲だと思います。

 

「出会ってくれてありがとう」や「見つけてくれてありがとう」と言った台詞は、アイドルのオタクをしていると比較的よく聞く言葉かと思いますが、自分の好きな人たちにこれを歌ってもらえることにきっと意味がある。ありきたりでもなんでも、この言葉をステージの上で、歌詞に乗せて届けてくれること以上に幸せなことがあるだろうか。「ステージの上ならなんにでもなれる」って好きな人たちが信じて、実感していて、それを歌ってくれること以上に幸せなことがあるだろうか。シンプルでストレートなメロディだからこそ歌詞に想いが乗せられて、そのままの温度で私たち観客側にも届くんじゃないのかな。

 

 

10. トレンディガール
作詞・作曲・編曲:川谷絵音

HISTORYであったかく終わりでも良いはずなのに、最後にこの曲を置くことでまた「ちがうの」からループしたくなる不思議な魔力がある並びだなあと感じます。可愛らしさを見せることをせず、淡々と無機質に歌っているからかな。このあとに聞くからこそちがうののイントロが朝日が昇るように感じられるのかもしれない。初めて聞いたから知らなかったけどこの曲はシングルなんですね。だったらなおさらこの位置にいることが不思議ですが、それも「私たち最新系なの」という歌詞で全て納得しました。これがトレンディってことか。

 

なによりこの曲の中で一番胸にくるのが

 

最終的には
牙を剥くのかもしれない
人たちにも
届けるようなものを
私たち作るんだから

 

ここです。なんじゃこりゃ。こんな歌詞をアイドルが歌うことがあるかよ、と思います。これが全てだと思います。心臓に刺さる。"届くようなもの"ではなく"届けるようなもの"と歌っているのも気になるな。牙を向けてくるような人の心さえも溶かすからというような、心の広い広い余裕と、そして決意みたいなものを感じてたまらない。川谷絵音、よく知らなかったけどすごい人だな〜。

 

 

 

 

 

 

playlist、良いよ。

 

playlist、すごいよ。

 

音源で聞くだけでこんなに引き込まれるのに、これから先いろんな場所で今までの曲と織り混ぜて歌い続けられていくのかと思うと、このアルバムの曲たちの可能性をすごく感じます。そう考えると本人たちが「この先の未来を見据えた作品にしたかった」とお話ししてくれているのがとてもうなずけるし、こういった新しい顔を持った曲が混ざることで今までの定番曲もまた違った色を見せるようになるんじゃないかなあ。

 

このエビ中のアルバムをきっかけにして、楽曲提供者のファンの方がエビ中の他の曲に興味を持ってくれるなら素敵なことだし、逆に私のようにエビ中を通して音楽の世界が広がる人がたくさんいるんだとしたら、エビ中、あまりに供給過多じゃないですか?知らなかった世界と知らなかった世界の橋渡しになるような、それが出来るのが私立恵比寿中学の6枚目のアルバム「playlist」だと思いました。何かにハマるきっかけっていうのはどこに落ちてるか分からないものだなぁと最近よく思うんですが、こうして新譜で今までエビ中に関心がなかったような新たな層を取り込んだり、私のように昔のイメージで止まってしまってる人の心を動かすことが出来て、さらにそれがライブの動員数につながるならそれはとてもとてもすごいこと。そしてとても大事なこと。数字は本当に大事なので。ひとことで「新しいアルバムが良い」と言ってしまえばそれまでなんだけれど、長く活動を続けていくと"過去を超えられない問題"も出てくるはず。それなのにこうして「最新のものが最高」と思えることが、私は正直少し羨ましくもあります。誰と比べるというわけではないですが、エビ中のファンの人はもっともっとこのアルバムの良さを語って未来につなげていく必要があると思いました。

 

そして私はももクロのオタクなので、多分今までもどこかのタイミングでエビ中の曲を耳にしていたのかもしれないのに、興味関心が高い状態で聞くエビ中の曲たちはまた全然違います。このアルバムを手にしたことをきっかけにYouTubeエビ中を検索するようになり、「紅の詩」という曲を知り、毎日毎日聞くようになりました。そして来年は絶対にエビ中の現場デビューをしたい!と思うようになりました。だってこんなの、生で聞いてみたくなるに決まってる。そう思わせてくれるアルバムでした。いつも春はツアーがあると聞いたので、生でこのアルバム曲たちを聞ける日を心待ちにしています。

 

私立恵比寿中学の皆さん、改めて素敵なアルバムをありがとうございます。もっともっとたくさんの人にこのアルバムを手に取ってもらえることを願い、ブログを締めようと思います。これからも応援しています!

 

 

 

 

 

おわり

 

 

 

ももいろクローバーZさんのオタクが二丁目の魁カミングアウトさんにハマった話

 

 

 

私には、数年間ずっと想いを寄せていた女の子がいました。名前は有安杏果ちゃんといいます。去年ももクロを卒業し、今年の頭から歌手・写真家といった位置付けで新しいスタートを切ったのですが、私はもうどうしても真っ直ぐに彼女のことを応援することが出来なくなってしまった。"好きな女の子"は"好きだった女の子"に変わり、"見たい"は"見ない"に変わっていきました。数年もの間アイドルの放つキラキラをもらって自分の栄養にして生きてきた私は、推しを推せなくなって空っぽになってしまった。

 

そんな時に出会ったのが二丁目の魁カミングアウトさんです。

 

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今年の4月に大阪でライブを拝見したのが始まりでした。通称二丁魁(にちょがけ)と呼ばれる彼らはゲイアイドルとして東京を拠点に活動されており、ミキティー本物さん、ぺいにゃむにゃむさん、きまるモッコリさん、白鳥白鳥(しらとりはくちょう)さんら4人からなるグループで、何度かライブを見に行くうちにすっかり夢中になってしまいました。私は彼らのことをモノノフ(ももクロのファン)にとてもプッシュしたい!!

(追記:きまるモッコリさんは2019年12月に脱退され、現在は3人で活動しています)

(追記:白鳥白鳥さんは2020年6月に脱退され、現在は2人で活動しています)

(追記:日が紅さん・筆村栄心さんが加入し、現在は4人で活動しています)

 

 

 

◼︎新しいジャンル

「ゲイアイドル」と聞くと身構えてしまいがちかもしれませんが、彼らはLGBTを広めるような活動をされているわけではなく、むしろ「ゲイアイドル」という言葉がない世界を目指しています。先日行われたTIFでもいつもは"これがゲイアイドルだ〜!"と叫んで煽っていた部分を"これがアイドルだ〜!"と叫んでいて震えました。アウェイの中で叫んできた数々の夏菜子ちゃんの言葉たちを思い出しました。ファンの人たちもゲイとかゲイじゃないとか、性別や年齢関係なく一人の人として彼らの音楽と一緒に前に進んでいます。4人は男性なので女性のファンが多いのですが、ジャニーズとはまた違うので推しジャンがあったりタイガーフャイヤーみたいなコールもあって、たくさんの女の子が思いっきり叫んだり狂ったように(ほめています)ケチャをするさまは初見にはなかなか衝撃的でした。あとは私自身ゲイの人たちと関わるなんて初めてだったので、この人たちは可愛いと言われるのが嬉しいのか?かっこいいと言われるのが嬉しいのか?最初は分からなくて、特典会で失礼なことを言っちゃったらどうしようとオタクに相談したことを覚えています(どっちを言っても喜んでくれる人たちです)。実際彼らは男性でありながらお化粧をされているし、ライブやMCで見せてくれる表情や仕草は時にすごく女の子で、時にすごく男の子。いろんなものの良いところをギュッと集めたような、応援の仕方含め本当に新しいジャンルじゃないかなあと感じています。唯一無二はなんにでもなれる。

 

 

 

◼︎ライブ

二丁目の魁カミングアウトさんは活動していくうえでライブを特に大切にされていて、そしてなにより自分たちのライブにとても自信を持っています。それはメンバーの発言だったり、ステージ上でやり切った表情をされた時だったり、そういう部分から感じられます。ミキさんは周りから「なぜそんなにライブ会場を埋めたいのか?」と問われた時に「スペースがなくなるくらい沢山の人に見てもらわないと勿体ない自信のあるライブだから」と答えていました。そのうえで、大きいステージに自分たちが相応しいか決めるのは観てくれた人たちだ、という姿勢も忘れていない。そんな彼らのステージはとても、生きています。

 

ぺいさんはライブの前によく「愛をぶつけあいましょう」と言います。4人とファンの、愛のぶつけ合い。とりあえずこの動画を見てください。

 

 

 

なんだか楽しそうじゃありませんか?そうなんです、楽しいんです。彼らはファンと一体となってステージを作り上げていて、メンバーの煽りに対して帰ってくるファンの熱もすごい。これが私は、なんとなくももクロちゃんのライブと似たものを感じるんです。ぶつけてぶつけられて、明るい曲なのにそのあまりの光景になんだか泣けてしまうような、くらくらしてしまうような、そんな感覚が。私はこんな暑苦しいくらい熱量のあるオルスタライブをずっと心のどこかで求めていたんだなあって、色々思い出したりしました。ももクロちゃんの過去のライブで例えるなら、GOUNNツアーのoverture無しで始まったサラバとか、国立2日目アンコール明けのコントラとか、ザ・ゴールデン・ヒストリーで会場にいる全員と飛び跳ねた夏とか、そんな体の奥底から一気に溢れ出てくるような気持ちの高まりを彼らのライブでなら感じられるんじゃないかなって、そう思うんです。そしてシンプルに歌が上手いです。個人的にある程度歌が上手くないと聞く耳を持てないタイプの人間なので、MVよりも生の方が歌が上手くて最初はびっくりしました。だからライブを見て欲しいというのもあります。最近ではハモりなども積極的に挑戦されていて、これからもっともっと良くなっていくと感じています。とても楽しみな部分!

 

そして個人的に感じていることは"この曲のここはこの人が見たい"という部分が、推しだけでなく4人それぞれに平等にあって目ん玉が足りないということです。なかでも私はミキさん推しではあるのですが、ここはきまるさんを見ていたいと思う瞬間が多いかもしれないなあ。ももクロちゃんのライブでは"近くのメンバーより遠くの推し"の理論で、推ししか見ん!だったので1人だけ反対側を向いて杏果ちゃんの背中を見ながらChai maxxを踊るようなヲタクでした。だからこんなに全員の全てを見たいという感覚も新鮮です。会場の広さがまた違うというのももちろんあるとは思うんですが、見逃したくないと思うということ。

 

とにかくライブを生で見て欲しいなあという気持ちでいっぱいなのですが、何にしても初めの一歩は重たいですよね。"よく分からないもの"ってなんだか怖いし。でも彼らはその一歩さえ踏めば、あとは一瞬で心を鷲掴みにしてくるようなライブをする人たちです。コールが熱いと書きましたが分からなくても充分楽しめるし、あとリフトとかダイブとかそういうのは無いので構えなくても大丈夫かなと思います。彼らは現在HOT GAY SUMMERと題してたくさんのライブをされています。無料のフリーライブだと大体MCをはさまず全部で6曲ぐらいなので、始まったらなんと5秒でライブが終わります。楽しいがギュギュッと短時間に詰まったアチアチなステージです。都合がつく日があればぜひ一度、4人とファンがぶつけ合うさまを見に行ってみて欲しいです。

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(一目見て直近のライブが分かるこのスケジュール表もすごいなあと思います。画像を保存すればサイトにわざわざ飛ばなくてもいいし。ももクロでもここまで分かりやすくないのでは……)

 

 

 

◼︎曲

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とはいえ、結局は彼らの曲風が自分の肌に合うかどうかが大事かなあと思います!二丁目の魁カミングアウトさんは現在4枚のミニアルバムを出されていて、そのすべての歌詞をミキさんが書かれています。「ゲイだから、ゲイの人が共感できる」といったものではなくて、性別や世代関係なく共感できる歌詞。内容としてはうまくいかない日常や、生きることの苦しさ、どうにもならないもどかしさ、過去への後悔、他人への嫉妬など人間誰もが生きてく上で立ち止まってしまうような瞬間を歌にされています。ミキさんは普段から疑問や感じたことをメモに書き留めていて、歌詞にも実体験が反映されることが多いそうです。その悩みをひとつのテーマにして歌詞を書いて、それが完成した時にミキさんの中で答えが出たということで、悩みもひとつ解決しているそう。サビだったり曲の最後には希望が見えているようなものが多いです。その希望を見つけられないと重たくて苦しくなってしまうこともあるのですが、それくらい本気で、生の生きている歌詞を書く人。楽しいライブ映像に「アイドルだなあ」とにこにこ見てたら歌詞に殺られる、みたいな。あるあるです。

 

ミキさんが全ての曲を手掛けられているので、曲と曲の繋がりが見えたりもします。例えば「鶴は千年亀は万年僕の数年」という曲の中にある英語の部分は「そっ閉じ青春」という曲のサビを訳したものだったりとか、「耳をすませば」と「マイノリティーサイレン」は元はひとつの歌詞で、だから曲順が続いてるとか。そういう裏話みたいなのが聞けちゃうところもすごくワクワクするし、この曲とこの曲は繋がってるとか、オタクそういうの考えるの好きでしょう……?!CDそのものは現在、ライブ会場の物販か下記オンラインストアで購入することが出来ます。個人的おススメはGAY❹です!これに収録されている「ピンポンダッシュ」という曲はももクロちゃんの白い風やキミノアトなんかをてがけた多田慎也さんが作曲されているので、ぜひ聞いてみて欲しいです。

 

 

 

◼︎接触

昔のアイドルといえば、"選ばれしものの代表"といった感じでファンにとって手の届かない神聖な存在であったと思うのですが、今やアイドルには"会える"時代。そんな最近のアイドル市場において接触商法と呼ばれる類のものは重要な資金源になっていると思います。ももクロちゃんも今でこそやってはいませんが昔は接触がありました。多分2012年の猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」の発売を記念しての握手会が最後だと思うのですが、後のお正月のイベントで一度手売りがあったかな?

 

私は接触出来るような距離の近いアイドルをずっと避けてきました。これは完全にイメージなのですが、例えば握手会で「来てくれてありがとう」だとか「また来てね」と言ってくれたり、目を見てくれたり、手を握ってくれたりすることも仕事だよなあと思っていて「覚えてるよ」と言ってくれるのも釣りだなあとしか思えなくて、アイドルがオタクと繋がっていた話を聞いた時なんかは「ほらな」と思った。オタク側のことで言えば、接触があるとアイドルからの認知をもらいたくて必至になって積んだりとか、人の対応と自分への対応を比べて落ち込んでしまったりする。オタクのよく言う"しんどい"みたいなものはこういうところだなあと感じることもあります。そもそも私はアイドルを神さまのように信仰してしまうタイプのオタクだったので、アイドルに「個」で認識されるなんてとんでもない、申し訳ない、大丈夫です、みたいな、とにかく間違っても私が足を突っ込む場所ではないと思っていました(もちろんこれとは別でライブ中にレスが欲しいとは思ったし、ゲリラも行けるように頑張った)。

 

グループとして大きくなってからのももクロちゃんの、握手会もチェキ会もSNSもやらない水着も着ない、スッパリと割り切っているところが、届きそうで届かないところが好きでした。それでも満足感で満ち満ちになる彼女たちのライブがなによりも好きでした。アイドルとの距離はそのくらいでいい、そのくらいがお互いドロドロしたしんどさみたいなものがなく、冷静を(割と)保っていられる距離感だと思った。アイドルはオタク個人の感情のゆらぎなんて気にしなくていいし、ある程度お互い分からないところが、知らないことがある方が良いと今でも思うし、見せてもらえたものにこっちが勝手にキャーキャー嬉しくなっているくらいで良かった。それくらいで、充分楽しかったんです。それでもやっぱり私はアイドルオタクで、近くで見られることに高揚感を覚える生命体としてこの世に生まれたのでその距離感に少しずつハマっていきました。ハマったというか、自然な流れだったのですが…。アイドルは存在してくれるだけで嬉しいのに、アイドルになってくれただけでありがたいのに、歌って踊ってくれるだけで充分なのに、触れられるなんて、名前を呼んでもらえるなんてどれだけすごいことか分かる。良かったことを良かったですと、目を見て伝えられることがどれだけすごいことか私には分かる。

 

二丁目の魁カミングアウトさんはライブの前や後に特典会をされます。物販に並んでチェキ券を買うと500円、または1000円でメンバーと一緒にチェキが撮れて少しお話が出来ます。距離が近いということは苦しい面もありながら、特典会はアイドルと自分だけの特別な思い出が出来たり、あなたを好きでいる人がここにいるんだよということを知ってもらえたり、直接ライブの感想をお伝え出来る。とても幸せになれる時間です。実際おなカマ(二丁魁のファンの総称)の特典会レポなどを見ていると、メンバーがファン一人一人と向き合ってそれぞれにそれぞれの言葉をかけてくれていることが分かります。ファンはその一瞬の時間を一生の宝物にします。

 

そのことも全部わかった上で、ミキさんは"チェキはあくまでもライブの特典だ"と話されています。

私たちの本分は、ステージの上で歌って踊って輝くことだと考えているので、特典会だけで好きになってもらおうっていう気持ちはないです。

特典会にばかり力を入れていると、もし特典会ができなくなっちゃった時に、それが目当てだったファンの人はもう来てくれなくなっちゃうと思うんです。

私たちは特典会がなくても、ライブだけで満足してもらえるようなアイドルでありたいと思っています。

https://popnroll.tv/articles/3443?page=2

 

私は、このミキさんのかかげる接触に対しての理念の部分がももクロに近いんじゃないかなあと感じました。彼らの人柄がよく分かる特典会はたしかに彼らの魅力のひとつでもあるのですが、私はいつだってステージに立った時のアイドルの姿をなによりも信じていたい。物理的な距離が出来ることに寂しさを抱えるファンの人たちは現状たくさんいます。ミキさん自身もライブの挨拶でグループが大きくなっていくと距離が出来ていくことに対して「幸せなのに寂しい、寂しいのに幸せだ」とお話されていました。加えて、"そんな寂しさも全部持っていくからね"とも。

 

 

 

◼︎杏果ちゃんとミキさん

ミキさんは、全てのファンの気持ちを救い上げようとしてくれる人です。先日あるツイートを見つけてびっくりしたので載せます。

そんなことあるの……?"アイドルにはありがとう以上の見返りは求めない"をモットーにオタクをしていたので、こんなことを言ってくれるアイドルがこの世に存在するのかと私の中の概念が音を立てて崩れていった瞬間でした。

 

他にも、会いに行けなくても好きでいることを知ってくれていたりだとか、寂しいという気持ちを知ってくれていて、誰一人置いていかない、全部持っていくとお話をしてくれる人。なんて愛のある人なんだろうか……。

 

杏果ちゃんも、どこかそういう人でした。加入の時期が他のメンバーより遅かったこともあり、まだ握手会のあった時代は自分の列だけ人が少なかったり、冷たい言葉を浴びせられたりと、つらい思いもたくさんされてきた人です。それもあってかファンのことをとても大切にしてくれていました。私はそういうところが大好きだった。ライブの最後の挨拶では開口一番に「大丈夫?寒くない?」と聞いてくれる人。そして今日会場に来てくれた人、ライブビューイングで画面の向こうで見てくれてる人、来れなかったけど応援してくれる人……など、こっちがそんなに全部全部言わなくてもみんな分かってるよっていう人のことまで拾って、話をしてくれるような、そんな優しい人。そして、とても現実的な人でした。メンバーがももクロを存在させ続けたいとか、将来のビジョンを掲げる横で「未来のことは分からない」と口にできる人。それは少し寂しくもあり、でもその人間っぽいところがとても好きでした。地に足をつけ明日のことを考えられる杏果ちゃんがいたから、他のメンバーが未来に思いを馳せることが出来たのかもしれないし、そんなメンバーがいたから杏果ちゃんは現実を見ていられたのかもしれません。そんな杏果ちゃんが話す「絶対」は、いつだって「絶対」だった。ミキさんも、言葉を大切にしている人です。ぺいさんはそんなミキさんのことを"言霊がある"と言います。それはきっと、夢を実現するための努力を怠らないから。私は杏果ちゃんのそういったところを少しミキさんに重ねて見てしまうのかもしれません。それが良いのか悪いのかは分からないですが…。

 

 

 

◼︎一緒に夢を叶えていくということ

アイドルはファンと一緒に夢を叶えていきますが、その分かりやすい目標になるのが「大きな会場を埋めること」。二丁目の魁カミングアウトさんは先月、Zepp Tokyoで行われたワンマンライブで2000人を埋めました。2年ほど前にはキャパ800人を埋めようと必死に活動されていた人たちです。来年の1月にはあの、あの中野サンプラザでワンマンライブをされます。モノノフとしてはとても熱い会場。そして2021年から2022年にかけて、日本武道館でのライブを目標に活動していくことを発表されています。これは私の死ねない理由のひとつでもあるのですが。彼らは今とてもめまぐるしい成長の過渡期にあると感じます。

 

ももクロ百田夏菜子ちゃんは、2014年に行われた国立競技場大会のライブで言いました。

今回、私たちメンバーの中では、何かサプライズがあるのかななんて思ってたんですけど、こうやって何もないまま最後まで来て、わかったんです。もう悪い大人は、私たちの前に壁を作ってくれないんだなあと思って。だから私たちが今度は自分たちで、大人の事情とか関係なく、もっといろんなことをやっていけたらいいなって思いました。

ももクロはいつもライブ中にサプライズで、次の大箱のライブ会場の発表がありました。彼女たちの成長は止まることを知らず、2011年に行われたさいたまスーパーアリーナでのクリスマスライブからずっと会場を更新し続けていましたが、国立競技場でライブをする夢を叶えてしまってからは、燃え尽きたように離れていってしまうファンも少なくはありませんでした。もう大きな会場を埋めることは、彼女たちの壁では無くなった。その辺りからでしょうか。ももクロが活動し続ける理由は"みんなを笑顔にするためだ"とお話してくれるようになりました。"笑顔を届けることにゴールはない"と。私は彼女たちのこういう部分が大好きであるとともに尊敬していて、例えライブに来なくなってもみんながももクロを好きでいる気持ちが変わらないのは、そういった彼女たちの発言であったり、柔らかい人柄が繋いでいるのだと思います。メンバーの高城れにちゃんがいつかの春のライブで"ライブは笑顔の交換会"だとお話してくれました。だからぺいさんが"ライブは愛のぶつけ合い"とお話してくれるのも、勝手に繋がりを感じて胸がキュッとなります。

 

では二丁目の魁カミングアウトさんは、何を目的として活動されるのでしょうか?それは「たくさんの人たちに二丁目の魁カミングアウトの曲を聴いてもらうこと」かなあと私は思います。

私たちがどんなに大きいところでライブをするようになっても、私たちの歌がいつでも聞く人の心に寄り添って、辛い思いをしている人の支えになれる、そんな身近な存在でいたい。それは変わらず持ち続けている信念であり、目標です。

ミキさんの言葉です。これから二丁魁がどんどん大きくなって、いつか今のように一人一人に直接声をかけてあげることが出来なくなっても、私たちはアイドルだから歌で寄り添っていきたいと繰り返しお話してくれます。これは楽曲提供をしてもらっていろんなジャンルの歌を歌うアイドルが多い中、二丁魁はミキさんが全ての曲を書かれているからこその言葉だと思います。「曲を聞いて欲しくて」ライブをしているというか…。曲を聞いて欲しいのは、自分たちの曲は誰かに手を差し伸べたり、気持ちを救うことが出来るんだという自信があるから。こういったところも新しいジャンルと感じる理由のひとつかなあ。

 

そして、ミキさんはこんな発言もされています。

 

"一生アイドル"。私たちはずっと二丁目の魁カミングアウトとしてアイドルだから、一生かけて責任とってあげる、と。私は永遠はないことを知っていますが、それでもももクロちゃんや二丁目の魁カミングアウトさんの見せてくれる「この瞬間だけは永遠だ」って信じられるような、そんな煌めきを見逃したくなくて、これからもライブに行くのだと思います。

 

 

 

 

アイドルだった女の子を応援出来なくなってしまった私が手を伸ばした先がまたアイドルだったことに、最初は罪悪感に似た感覚がずっとありました。もともと推し増しのような概念が苦手だったことも手伝って、杏果ちゃんの代わりにしてしまってるんじゃないかな、接触出来る距離を知ってしまったからじゃないかなと考えてしまい、彼らを好きになることに"ブレーキ"をかけていました。それでも私の手は二丁目の魁カミングアウトさんを知る努力をやめなかった。知れば知るほど惹かれる要素が散りばめられており、そんな状態で向かった野外のライブでは、曇り空の下で歌っていたのに、最後の曲で晴れ間がさして太陽の光がステージの4人を明るく照らすという魔法のような光景を見ました。ミキさんがその瞬間のことを「夢が叶いそうだった」とお話してくれた。なんか、なんかそんなの、好きになってしまうじゃないですか……?その次の日会社に向かう道中で、あぁ、私は好きを見つけてしまったんだ、これから彼らのことを応援していくんだなと胸がいっぱいになって泣いてしまった。自分をエモい気持ちにさせるのが得意なので……。アイドルによって作られた傷は、アイドルでしか癒せないのかもしれないです。

 

 

 

来年の中野サンプラザでのワンマンライブはもうチケットの申し込みが始まっています。彼らの初のホールを一緒に目撃しませんか?チケットはこちらから買えます➡︎

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私はたくさんの人のもとに彼らの音楽が届いて欲しいし、ライブを見て欲しいです。もっともっと世間の人の"日常"に二丁目の魁カミングアウトさんの音楽が存在して欲しい。もっともっと、知って欲しいです。そのお手伝いになればと、わたしの好きな人たちと比較するような形でこのブログを書きました。別に二丁目の魁カミングアウトさんはももクロちゃんを目指しているわけでは無く、勝手にオタクが繋げただけの話なのでその辺はご理解頂きたい…!

 

 

少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいなあと思います。よろしくお願いします!

 

 

 

 

おわり

 

 

 

 

初めて二丁目の魁カミングアウトさんを見てきた話

 

 

いつもいつも時間に間に合わないな。今日もはいこれが私の人生人生!!!と思いながら退勤即ダッシュで大阪に向かいました。思えば仕事終わりにライブ行くなんて初めてかもしれない。大阪でライブがあっても距離的に開演時間に間に合わないからいつも絶対に有給取っていたのでそういう意味でも非日常な体験で、電車に乗りながらソワソワしました。

 

昨日初めて、二丁目の魁カミングアウトさんのライブに行ってきました。「ゲイでもアイドルになれる」をコンセプトに、メンバー全員がゲイであることを公表し主に東京で活動しているアイドルグループです。彼らのことは詳しくは知らなかったんですが、一度ワンマンかなにかのMCの動画が上がっていたのを見て、そこでミキティー本物さんが話されていたことが当時の私の心をキュッとさせ、それは今もまだずっと残っています(生まれ変わってもまた私に生まれ変わりたい、のやつです)。今回一週間毎日大阪でライブをするらしく、迷っていたら二丁魁さんを推してるフォロワーさんがぜひ!と背中を押してくれたので見に行きました。"見てほしい"と言ってもらえること、めちゃめちゃ嬉しいな。好きな人の好きな人を見られること、楽しみだけどでもちょっとだけ、ピリッと緊張もするんだな。しっかり見なくてはの気持ちでアメ村へ向かいました。

 

実際見てみて、パフォーマンスどうこうの前に4人の美と地下特有の熱量みたいなもののインパクトが強すぎて、他のことなんにも覚えてな〜〜〜い!(笑)とにかくステージが近いことにまず驚いた!あとは発光!発光!発光!4人ともお顔が美しすぎて彫刻かフィギュアかなんかかと思っちゃった。きまるさんはマスコットですね。女装ライブの日だったので4人とも女の子の格好をしていたのですが(GUで全部揃えたと話していてかわいかった)ずっと綺麗、綺麗って言ってたと思います。モデルさんと街角ですれ違った感覚、みたいな。すれ違った経験はないですが。とにかく美でした。

 

二丁目の魁カミングアウトさん、っていうかそもそも地下アイドルの方のライブに行くのすら初めてでぼっちだから不安だったけど、たまたまももクロで繋がってた女の子が来ていて前の方の左端の位置に連れていってくれてすごく良く見えました。何回か目があった気がしてめちゃめちゃドキドキになっちゃった!アイドルと目が合った!絶対新規だってバレてたな。普通に新規だけど。4人ともお客さんひとりひとりに目を合わせにいってる感じがして、あぁアイドルだなぁと思いました。ステージが近いってやっぱり最高!手を伸ばした先に推しがいる当たり前を思い出してキュとなった。

 

ミキティー本物さん、ずっとずっとニコニコしていてめっちゃ可愛かった。勝手なイメージでごめんなさいなんですが、もっと常にキリッとキメてる人かと思ってたのでギャップ萌えでした。っていうか聖母?妊婦さんの女装だったし……。アイドルが楽しそうなことがこちら側に伝わってくること、ものすごく嬉しくて幸せなことだな。ぺいにゃむにゃむさん、一番エネルギッシュだった。煽りがすごかったし楽しんでもらうためにまずは自分が楽しもうとしているように感じました。チェキの時身長が同じくらいで、ステージ上では大きく大きく見えたのでびっくりした。大きく大きく踊ってるからだね。表情も百面相みたいにころころ変わるので目で追うのが楽しかったし、お客さんじゃなくて壁側の方を向いている時もお顔が笑っていたのが見られてえっ好き!になった。白鳥白鳥さんは瞳がキラキラしているという前情報を仕入れていたので瞳ばかりガン見していましたが、見つめすぎて勝手にこっちが照れちゃってそらしちゃった、綺麗すぎて……。なんの曲か忘れたんですが白鳥さんがはおっていたカーディガンが片方だけはだけてしまって、それを直しながら自分のパートを歌い出したのを私は見たぞ。えっちすぎる。女より色気あるのなんで〜〜〜?!しらとりはくちょうさん、に、なり、たい……(墜落)。きまるもっこりさん、幼女だった。っていうか赤ちゃん?え?かわいすぎてよくわかんないな。お声も一番やわらかいね。なにかの曲ではてはて?みたいなお顔をしていたのあざとかったし笑顔でルンルン踊っている姿が可愛いすぎて家にひとつは欲しいと思いました。けど最後の曲かな?伏し目がちにうつむくような瞬間があってその時の表情が笑ってなくてドキッとした。そういうのずるくないですか?普段ニコニコしてる人の真剣な顔や憂い顔が見える瞬間、たまらなく好き。なんか4人とも引力がすごくて誰を見たらいいのかわからなくて、もう何?怖〜〜〜?!って感じですごかったです。輝いてる人、発光してる人ってパッと見ただけであっ!てなるけど、4人ともそれだったのでとにかくびっくりでした。

 

いくつかyoutubeに上がっているMVを見てから行ったけどそれより生の方が歌が上手くてこれもびっくりした。ふつうに歌上手いんですね。曲名も歌詞も知らなくて雰囲気でしか掴めなかったのが残念〜。これ、なんの曲か教えてほしいんですが、白鳥さんときまるさんが背中合わせで歌って、そのあとミキティーさんとぺいさんが一緒に歌ってたところ、この2人ずつの声の組み合わせが合っていて良いなぁと思いました。ツイッターの動画見たけど、まるもうけのサビもそうですか?きまるさんのお声、可愛くてやわらかい感じなのに少年っぽさもあって、一番好きかもしれない!きまる、さん………………

 

最初の曲が始まった瞬間から全部終わるまでノンストップであっという間だった!短い時間に4人とお客さんによる濃いパフォーマンスがぎゅぎゅぎゅとなっていて、"短く楽しく"って超コスパ良いなとか思っちゃった。女の子のファンが多かったけど、え?女ヲタってあんなに声出るの?あんなにねっとりケチャするんだってびっくりしました。なんというかステージとフロアが一体に感じられて、ライブはみんなで作るものみたいなことよくいうけど、こういうことなんだろうなって4人とお客さんを見て思いました。カエルのうた?のイントロでみんなしゃがんで飛び跳ね出すの、初見には分からなすぎて一人だけ棒立ちになって恥ずかしかった!同じくらいの好きの大きさを持ったヲタクが小さな空間に集められて一緒にライブ見たら、そりゃー楽しいでしょうよ!私が知らないだけで世の中にこういう場所ってたくさんあるのかも。コールとか口上とかもすでに出来上がってる感じで、覚えて一緒に出来たら楽しいんだろうなぁと思って見てました。サビの振りはぺいにゃむにゃむさんが引っ張ってってくれたので踊れたし楽しかった!

 

ライブのあと、物↑販↓で買ったチェキ券を持ってる人から順にチェキをとれる仕様だったんですが、新規の人はあまり並ばずにとれるようになっていてありがたかった。あの長蛇の列をよくルールが分からないまま一人で待つって考えたらチェキは撮らずに帰ってたかもしれない。っていうかチェキ、あんなにみんな普通に見てる場所で撮られてたんたんと進んでく感じなんだね!もっとなんか壁とかあると思ってたから恥ずかしかったよ。あとみんな推しが目の前にいるのに黙って並んでてえ?!さっきあんなに狂うように推しに捧げてたのにスマホ触って待つんだって思ったら笑っちゃった。そういうものなんだ!ちゃんと接触があるから逆に、私が私がとはならないのかなーと思いました。良い距離感を見た気がします知らんけど。

 

私の番がまわってきたけど、4人が近すぎて誰を見て良いかわからんになってしまった……!ここが良かったですとかお伝えしたいなと思ったんだけど思ってたより流れが早くて、楽しかったこととおすすめされてここに来たことだけお話して速攻終わっちゃった。名前も聞かれなかったな。でもミキさんが「ライブ楽しかった?!」ってキラキラしたお顔で聞いてくれたことだけは確かです。えっ顔綺麗…って思って動揺して「た、楽しかったです!」って言わされた人みたいになっちゃった。楽しかったよ!

 

 

 

勢いでCDを一枚買ってアメ村をあとにしました。

 

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緊張もしたし初めてなのに女装ライブで情報量多すぎたけど見に来られてよかったな。楽しそうなヲタクを見て私もまた心から誰かの名前を叫んだりしたいよ〜って帰り道におセンチになっちゃった。二丁目の魁カミングアウトさん、また見られる機会があれば次は衣装でのパフォーマンスを見てみたいし、買ったCDをひと通り聞いてみて「ノスタルジスター」が好きだなあと思ったので生で聞いてみたい!

 

それまでに誰か、字幕入りのコール動画作っといてくださ〜〜〜い!!!

 

 

 

 

 

おわり

 

サクライブ大阪に行ってきたので感想を書きます

昨年の1月、ももいろクローバーZを卒業した有安杏果ちゃんの新しいスタートとなるライブ、「サクライブ2019~Another story~」がなんばhatchで行われ、行ってきたので感想を書きます。

※思ったことをそのまま書くので気を悪くされたらすみません

 

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・どちらかというと私は杏果ちゃんのあれやこれやに疲れてしまって冷めていたので生の杏果ちゃんを見て自分が何を思うかすらあんまり興味がなかった。でも当たったものは当たったものなのでサクライブには入金しました。

 

・杏果ちゃんがバンドさんのあと下手から出てきたとき、あっ私の知ってる杏果ちゃんだ、ホンモノだ、動いてる杏果ちゃんが手の届きそうな距離にいる、ニコニコ笑ってる、したらやっぱり泣いちゃった。そりゃそうか。だって幕張ぶりなんだから。生で見ると感じるものの量がすごかった。女性エリアで入ったけど周りにも何人かグスグスいってる人がいて、だよねってなったりした。

 

・とりあえずめちゃくちゃ可愛くてびっくりしてこれが恋のパワーかと思った。医者に感謝すらした。この前髪にずっとして欲しかったよ!ポニーテールもゆるく巻いてあって可愛かったな。衣装は白シャツにストライプのシャツを縫い付けたみたいなおきまりのちぐはぐな感じの衣装で、片方は肩のところが空いてて袖には3つボタンがあったのとリボンがついてたな。下は黒のスキニーでスニーカーは赤。ピアスはシルバーの輪っかみたいなのだった。アンコールはおだんごに変えていて、ライブティーシャツにエキゾチックな柄のピンクのスカートに白いスニーカーだった。表情もずっと柔らかくて何度もバンドさんとアイコンタクトをとったりしてて今日という日を一番楽しんでいる人は杏果ちゃんだと思った。

 

・すぐ一曲目のAnother storyでなんていうんだろう、すごく光っていて、あぁやっぱりステージに立つべき人だなぁって思ったよ。だってまるでずっとソロでやってきた人みたいだったから。ライブハウスでバンドさんも従えて、さまになってるんだもんな。新しく買ったっていうギターの表面が光で反射して眩しくなるたびに、ここから始まるんだなぁとぼんやりと思った。ここがスタートライン!とか言うのなんか恥ずかしくて嫌なんだけどそれだなあと思ったよ。ひとりの女の子の人生として、転機なのだなぁと思ったりした。

 

・色えんぴつの最初、照明が後ろから差してるから前から見てると杏果ちゃんの顔が影になってよく見えなくて、オリックス劇場を思い出してドキッとした。最後のサビでは照明が白から赤とか黄色とか青とか色えんぴつみたいにカラフルになってたのもよかったな。裸で白っぽいピンクの照明が後ろから差していて、夕方の川っぺりみたいですごくドキドキした。杏果ちゃんの瞳の水分がキラキラして透けて見えて、あっこれ絶対忘れないって思った瞬間だった。今日の中で一番好きな色だった。照明の色ひとつで思い出せる景色はたくさんあるね。

 

・新曲のサクラトーン、歌詞がよく聞き取れなかったけど"もう作り笑いはしない"みたいな歌詞が入っててめちゃくちゃショックだった。別にももクロのこととは言ってはないけどそうだったのかなって思ったら、なんで今のタイミングでそういう歌詞を新曲にいれちゃうかなぁってうーんだったな。

 

・正直、盛り上がりきれない曲が多いと私は思ってる。アイドルのライブじゃないんだから、そりゃコールしたいとか声を出したいってことではないんだけど。ドライブドライブを上げ曲の位置に置いてるけどタオル曲じゃないよなーってずっと思ってる。みんないつまでタオル回したらいいかやめ時がわかんないみたいになってるし。TRAVEL FANTASISTAのサビで手を振るところもそう。雰囲気でやってきたからこれからもそうなるんだろうけど、そこはこれから杏果ちゃんとお客さんとで作り上げて行くみたいなところかなぁ。

 

・杏果ちゃんの煽りはスパーンって決まって気持ちいいからその勢いのままみんながノリノリで勝手に身体動いちゃうみたいな曲を作ってほしい。杏果ちゃんはめっちゃ笑顔でくるくるまわったりステップふんでるのに、客側が真顔で手叩いてたりのりきれてない感じが私はして、楽しみ方は自由ではあるけどだからこそ周りとか気にせず音楽を全身で楽しむみたいな人増えたらもっと楽しいライブになるのになと感じた。なんとなく遠慮しがちな人が多そう…実際どうなのかは知らん。楽しんでるけど真顔、っていうのはももクロのライブでもいっぱい見たし顔だけじゃわからないけど。

 

・体調不良で途中で出て行く人がまあまあ結構いて気まずかった。杏果ちゃんも次々そういう人が出てくるものだから「何がいけないんだろう?!気温かな?!」みたいになってたな。多分普段はオルスタなんて行かないけど杏果ちゃん復帰の大切なライブだから、と思って足を運んで、でも慣れなくて体調を壊してしまったのかなあと思った。曲やMCの途中で周りの人がすいませんって叫んだり手を上げて杏果ちゃんに訴えたりして、そこの連携プレーというかこういうのが言いやすいかどうかの空気作りみたいなのも杏果ちゃんとお客さんで作ってくことなのかな。私は割と冷静にスタッフや杏果ちゃんがどう動くのかを見てた。杏果ちゃんはとにかく心配そうで、銀テが余ったから体調不良で抜けちゃった人にあげようねってなって、あぁ杏果ちゃんだなぁと思った。まあそれを提案したのは杏果ちゃんじゃなくて会場のどこかの男性だったんですが。ピック投げたとき床に落ちて誰もとれなくて、みんなでしゃがんで探してる人たちがいて、それを見た杏果ちゃん「え?!また倒れちゃったの…?」みたいになってて笑った。「いやどっかいっちゃっただけ!」みたいに誰かが答えてたのも笑った。

 

・全体的に杏果ちゃんの方からお客さんの声を拾いがちなのもよかったな。話をさえぎってくるうるさいのじゃなくて、男の人がたまたまタイミングよくしたでっかいくしゃみを拾ってスッキリしたやろ〜って言ってたり、そこのココセンのTシャツ着てる人、会場で一番ノってくれてる!って喜んでたり、そのたびに柔らかい空気になったね。杏果ちゃんはそれが得意だね。

 

・杏果ちゃんがはける時の拍手がそのまま、勝手に揃って行って誰かがもーもーかって言い出したのをきっかけに杏果コールが揃ってきてアンコールになった。アンコール!アンコール!でも良いのになぁと思う。こう思うのもももクロでそっちに慣れてるからかな?

 

・逆再生メドレーは正直またかと思った。一年かけて復帰のライブ一発目、似たような感じになるのは仕方ないかなと思うけどココセンすぎたかな。色えんぴつをロックな感じにしてたのはびっくりした。杏果ちゃんの歌い方が久々に巻き舌っぽくてきばってるみたいな感じで、ロックな感じにすることでもともとの痛々しい叫びみたいな苦しい歌の感じから"キレてる"みたいになっててなんか、本音って感じで結構よかったよ。杏果ちゃんのニコニコしてない、ほんとはこうやって色々言い返したいんだろうな、プライベートではこの顔して怒ってるのかなってちょっと想像して、そういうのもっと出してくれた方が逆に好感持てるよ〜〜〜とか思ったりした。

 

・今回だけじゃなく今までも、みんなをたくさん泣かせちゃったよね。でもその涙を集めて虹にできたら良いな、そんなことを思いながら作った曲がありますって新曲を披露されて分からなくて泣いた。悲しい。綺麗な虹になんてならない。私はこんな涙流したくなかったんだよ、そのことについては何か言ってくれないの。そんな、そんな、集めて虹にするなんて綺麗な話にしないで欲しかった。そんな涙が歌を作るきっかけになるの、悲しすぎませんか。それを今新曲として披露するのは残酷じゃないですか。歌詞が全然頭に入ってこなかった。

 

・杏果ちゃんが伝えたいことがあるんだけどうまく文にできない(これは昔からだね)→ヲタクが頑張れとか色々言う→杏果ちゃん嬉しくて泣いちゃう→ありがとうみんなは本当に優しいねみたいになる→謎の拍手→結局大事なところは話してくれない、または触れてくれてるけどそこちゃうねんそうじゃないねん、みたいなのが多くてしんどかった。同じ会場で同じライブ見てるのに枠の外にいるみたいだった。私は全肯定ヲタクになれない。じっと黙って杏果ちゃんが自然に自分の言葉で話をできるようにしてあげたい。だからヲタクはとりあえず黙ってて欲しいんですが…。杏果ちゃんがハムスターの前、ひとことひとこと大切に話してくれてることは話し方を見ていてすごく伝わったし泣いてる人もたくさんいた。でも内容は正直ふわっとした感じで結局何を伝えたかったのか分からない。せっかく話そうって決めてその時間をとったなら、事前に何を話すかまとめておいた方が良かったんじゃないかな。杏果ちゃんも言葉選びは難しいねって話してたね。そうだね、難しいね。でも私が傷つくのは仕方ないけどみんなにまで被害が及ぶのがつらい、みたいなことを言われても、それは杏果ちゃんが原因じゃんかって思ったよ。それはなんの涙なのって思ったよ。杏果ちゃんの優しい話し方も語尾の上げ方も変わってなくて、大好きだった杏果ちゃんを何回も思い出したりしたけど、やっぱり冷静になってしまう瞬間もいくつかあって、私はそんな気持ちで拍手なんて出来ないって思った。

 

ももクロの辞め方、医者のあれやこれや、とかそれを弁解しようとした杏果ちゃんのお話、とか全部抜きで今日のライブを振り返ってもやっぱりどこか物足りないなぁと思う。新鮮味がないかな。これからツアーをやるけどそれもココセンもどきみたいなことをするんだったら興味がない。

 

せっかく!せっかくももクロを抜けて自由に出来るんだから、逆再生メドレーのアレンジを変えることばっかりするんじゃなくて、アコギ一本でカバー曲ばっかり歌うとかまったくガラッと別のことをやってみて欲しい!だってココセンは一昨年にもう終わったのだし、私は!そういうのが!見たいんだよ!杏果ちゃんがto be with youをしっとり歌う、横アリで得たようなものすごい幸福感を知っているので。杏果ちゃんなら絶対にもっともっと色々出来る!色々やりたくてももクロを辞めたんだろうしそれくらいの情熱がある、けど、今はまだそれを上手く外に向けられていない感じがあるな。マネジメント?プロデュース?が上手くいってなくてもったいない。ツアーをやって数をこなすことは大事だし、地方でいろんな人に知ってもらうことも大事ではあるけど、まだ新曲もライブでしか聞けない状態で先に急がなくてもいいんじゃないかなあ。今いるファンが離れていくかもしれないことを忘れないで。歌で伝えるといつも言うけれど、歌だけでは伝わらないことも実際あるからね。

 

・杏果ちゃんの歌に対する熱は相変わらずめちゃくちゃ伝わってきたよ。握ったマイクもう離さないのところ、何度も強調してたよね。ずっと歌い続けて欲しい人だなあ、ステージの上にいて欲しい人だなあ、と思うのはやっぱり本当です。今日本当になった!今杏果ちゃんには良くも悪くも注目が集まってるから大変だけど、それは杏果ちゃんだけでなく医者の問題でもあるからどんな風に伝えればよく受け取ってもらえるのか、歌そのものを評価してもらえるのかみんなでもっともっと考えて欲しいです。入場待機列だって混乱が生まれていたし、体調不良の人の介護も手際が悪いなぁと思った。イレギュラーなことが起こると杏果ちゃん1人では対応できないことの方が多いから、これから事務所やスタッフみんなで良いチームが作れると良いね。東京のレポ見て、歌が上手くなってたからってなんだよ!って思ってたけど、杏果ちゃんがステージに立ってスタートしたならもうそれが全てだから。私たちは選べる。お金を落とすか落とさないか、それ以外はもう何もないね。

 

このへんが私の今の気持ちです。少し離れたところから見守って、面白そうなライブがあれば行ってみたい。ファンクラブも入るつもりはないかな。これくらいの距離感で応援しようと思います。

 

Zeppツアー、改めておめでとう!